第2話 働かざる者食うべからず
「藍俚ちゃん、嫌だったら嫌だってちゃんと言いなよ。なんだったらアタシがガツンと言ってやろうか?」
「女将さん……いえいえ、お酒の席の戯れですし大丈夫ですよ。本当に危険な時はちゃんと怒りますから」
「そうかい? そうなってからじゃ遅いんだけどねぇ……でもホントに気をつけとくれよ」
思わず吐いた溜息を聞かれたのでしょう、女将さんが声を掛けてきて、ご主人も心配そうに私の方を見ています。
本当に良い人たちに会えたことに感謝しながら、私は先ほど空いた席の片付けを始めました。
「んー、疲れた……」
最後のお客さんも帰り、後片付けを終えたところでご主人から「今日はもう上がってよい」と言われました。
ご夫妻はまだこれから明日の仕込みとかも行うらしいのですが、まだ入ったばかりの新人にそこまではやらせませんね。
貸していただいた部屋へと向かいます。
部屋と言っても本当に狭く、私物どころか布団が一組と着物が二つしかないような些末なもの。とはいえ贅沢は言えません。
ここが今の私の住まいなのですから。
布団を敷き終えると、最後の抵抗とばかりに見よう見まねの柔軟体操と筋トレを行います。一応これでも死神志望ですからね。やらないよりはマシなハズです。やり方が合っているのかどうかは知りませんけど。
本当ならば霊力を鍛えられれば一番良いのでしょうが、残念ながらやり方すら分からないので鍛えようがありません。
ただ、良いこともありました。
こちらにご厄介になった日にご主人が「死神を目指すなら良い所に連れて行ってやる」と言われており、明日がその日なのです。
はてさてどこに連れて行かれるのでしょうか?
小一時間ほど鍛錬もどきをしていたところで眠気が限界にきました……
おやすみ、なさい……
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