ハーメルン
貴方は中央トレセン学園から追放されることを希望しています。
ビグロ。
「やぁトレーナー! 今日の模擬レース、よければ一緒に見に行かないかい? 実は最近になって“何故か”急に走りが進化したウマ娘がふたりほどいてね。彼女たちの走りは、きっとキミも気に入ってくれると思うんだ」
貴方はミスターシービーに連れられて、模擬レースが開催される学園内のレース場にやってきました。すれ違いざまの舌打ちに表面上は無反応で、しかし内心では小躍りなどをしつつ貴方は壁際に移動しました。
その行為に特別なにか理由があるワケではありません。貴方の持つ悪役のイメージとして、壁に背中を預けて腕を組んでいる姿を思い浮かべたので実行してみただけのようです。
さて、いまから始まるのは中距離の模擬レース。すでにデビューしているウマ娘から本格化が始まったばかりのウマ娘まで、出走するウマ娘は多種多様です。もちろん、能力はともかく本格化の進行具合だけはしっかりと区別されているのでご安心です。
出走する友人たちとの会話を終えたトウカイテイオーとマヤノトップガンも合流し、いよいよ模擬レースが始まります。今回は取り引きも関係ありませんので、貴方はのんびりと観戦することにしました。
システムで能力値の始まりが統一されているゲームと違い、本格化の影響が強いのはなかなか興味深いものでした。同じ中距離適性を持つウマ娘でも、ビワハヤヒデとナリタブライアンでは姉のビワハヤヒデのほうが間違いなく強いのです。もっとも、ギャラリーの反応は荒々しい走りのナリタブライアンのほうが盛り上がっている様子でしたが。
貴方が純粋に模擬レースを楽しんでいると、ついにミスターシービーのオススメというウマ娘たちの出番がやってきました。並んで立っていたのはメジロライアンとアイネスフウジン、どうやらふたりとも同じレースで走るようです。
ゲートからはかなり距離が離れていますが、それでもメジロライアンは貴方を見つけるとまっすぐに視線を向けてきました。
あれだけ悪意のある言葉を叩き付けたにも関わらず、その表情からは清々しい闘志が感じられます。そのことに貴方は驚きつつも、そういう部分も含めて彼女は“メジロ”なのだなと納得しました。隣に立っているアイネスフウジンが貴方を見てニヤリと笑いましたが、おそらく散々に好き勝手批判したことを友人から聞かされたのでしょう。お前の評価を覆してやるという意思表示として貴方は受け取ることにしたようです。
なんとなくミスターシービーからは「ライバルが強くなるのは大歓迎だ」という喜びを、マヤノトップガンからは「これでレースがもっとキラキラする」という楽しみを、トウカイテイオーからは「またコイツなんかやったな?」という呆れの視線を感じましたが、もちろん貴方はそんなことを気にする人間ではありません。
メジロライアンが立ち直ったことが確認できた貴方はルームに帰ることにしたようです。ミスターシービーからはレースを見なくてもいいのかと問いかけられましたが、貴方は見たかったものはもう見せてもらったと返答して振り返ることなく立ち去るのでした。
◇◇◇
「トレーナーさん、シービーさんから聞きましたよ! なんでもトレーニングの内容にアドバイスをしてくれるって! メジロのウマ娘として自信を持って走れるぐらい、どうかご指導のほどお願いしますね! ねッ!!」
「あたしのトレーニングも見てほしいの! アルバイトのことがあるから、ほかの子より使える時間が少なくてちょっと困ってたの! 短い時間でもしっかりと、それこそダービー獲れるくらいのを頼んじゃうの! のッ!!」
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