ハーメルン
貴方は中央トレセン学園から追放されることを希望しています。
ふんぬ!!
貴方は今日もミスターシービーとトウカイテイオーの勝負を眺めています。
しかしながら、今回は決定的にいつもと違う点があります。なんと、トウカイテイオーの故障率が低下しているではありませんか!
嬉しくも不思議に思った貴方は、走るトウカイテイオーの力の流れがどうなっているのか“視て”確認することにしました。多少歪な部分はありますが、前回の勝負のときと比べればスムーズに流れています。
考えられる要素としては、マヤノトップガンから脚の不調について聞かされて走り方を改良したというのが一番有力でしょう。さすがはトウカイテイオー、天才はいた。貴方は別に悔しくもありませんし、なんなら納得しているぐらいです。
さて、トウカイテイオーの怪我の可能性が改善した以上、貴方が彼女に注目する理由はありません。ここから先はいずれ現れるであろう彼女のトレーナーの仕事です。
アニメのトレーナーのような優れた洞察力を持つ人物か、あるいはアプリのトレーナーのようなリカバリー能力に優れた人材か。両方を兼ね備えていればベストなのですが、さすがにそれは高望みでしょう。最低限、トウカイテイオーの夢を本気で信じてくれる善人であれば未来は約束されたようなものです。
ならば貴方のやるべきことは決まっています。よりトレセン学園からの評価を下げるべく、ウマ娘たちを放置してルームで昼寝でも楽しむとしましょう!
「──ってッ!! ちょっとトレーナーッ! ボクたちを置いてどこに行くつもりなのさッ! っていうかッ!! そもそもボクの走りちゃんと見てたのッ!?」
1戦目を終えたトウカイテイオーが不満を隠すことなく貴方に詰めよって来ました。どうやら貴方の態度が気に入らないようですね。当たり前ですが。
しかし、こればかりはどうにもならないでしょう。もとより貴方はトレーナー業務に興味は無く、トウカイテイオーに対してもファンの立場で応援できれば充分と考えています。
走る様子にしても、前世でもGⅠレースならばともかく、貴方はそれ以外のレースは基本的にスキップしていました。なんならウイニングライブすらほとんど見たことがありません。
ですがこの状況は貴方にとってチャンスでもあります。ここぞとばかりにトウカイテイオーを煽ることで不信感を稼ぎつつ、周囲の視線をより冷えきったものへと変化させていきましょう!
貴方は惜しむこと無く切り札を使うことにしました。文句があるなら菊花賞に勝利して三冠ウマ娘になってみせろ、と。
いまのお前は速いだけで強くない、速いだけのウマ娘なんていくらでもいるのにトウカイテイオーだけに注目する理由など無いと、一切の遠慮を含ませることなく言い放ちました。
実に素晴らしいチョイスです! 貴方らしからぬ的確な言葉選びは無事、彼女の神経を逆撫ですることに成功しました!
トウカイテイオーが呆気に取られている間に、貴方は速やかにターフを離れました。なにやら背後から雄叫びのようなものが聞こえた気がしましたが、おそらくただの空耳でしょう。
一応、勝負に熱くなりすぎてオーバーワークにならないようにとミスターシービーに頼んでおいたので、心置きなく貴方はソファーに横になることができました。
◇◇◇
後日。
「トレ~ナ~? ちょぉ~っとボクのトレーニングプランにもアドバイスが欲しいんだけど、モチロン引き受けてくれるよねぇ~? シービーだって担当じゃないのにアドバイスしてるんだからさ、まさかボクだけダメだなんて言わないよねぇ~?」
[9]前話
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:1/2
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク