ハーメルン
ダンジョンでドラゴンと戦うのは間違っているだろうか ~マンチキン・ミィス~
3-6 ボンバーな女
街から数百メートルほど離れた森の中、二人は適当な木の根元に腰を下ろした。
イサミは木の根っこに腰を下ろし、ハシャーナは草むらの上にあぐらをかく。
「で・・・どういう事情なんです?」
「んーまぁ、極秘って言われてたんだが、こうなっちまったらしゃあねえな。
クッソ怪しい奴に依頼されて、30階層まで行ってあるものを取ってこい、って言われたんだよ。誰にも知られないように、な」
イサミが眉を寄せる。
「クソ怪しいって・・・ギルドの依頼じゃなかったんですか?」
「いいや。黒いフード付きのローブに銀の華奢なガントレットをつけて、顔も見えない野郎だったな」
「それで何で受けるんだよ?! あからさまにヤバいじゃないか!」
思わず突っ込むイサミ。
頭に手をやって照れくさそうに笑うハシャーナ。
「いやあ」
「いやあ、じゃなくて!」
「そのだな、やたらめったら報酬が良くてなあ・・・すまんっ!」
「いや、謝ってもらっても・・・」
何故か腕を組んで胸を張るハシャーナ。
イサミは疲れたようにため息をつくが、気を取り直して話を続ける。
「で、そのあるものってのは?」
「それが気持ち悪い代物でなあ。透明な緑色の玉っころの中に、不気味な赤ん坊みてぇなのが埋まってるんだよ。
虫が埋まってる琥珀って言うのは聞いた事があるが、そいつ、玉っころの中にいるのに脈があってな。
おまけにぎょろりってこっちの方を見やがんだよ。ぞっとしたぜ」
イサミは沈黙した。
限界まで強化された彼の知識をもってしても、類似の物はD&D世界とこの世界を問わず思い当たらない。
だが、何故かとても危険な物では無いかという気はした。
ハシャーナが言葉を続ける。
「それで、そいつを運び屋に渡して、俺の仕事は終わり。
あー、それでだな、そのあと・・・」
「?」
突然、ハシャーナが妙に決まり悪そうに言いよどむ。
首をかしげたイサミだったが、ハシャーナが死んでいた部屋の様子を思い出し、すぐに正解らしき物に思い至る。
「ああ、どこかの女を引っかけたと。普通の商売女はさすがにいないだろうから、イシュタルの戦闘娼婦でも口説きましたか」
「あ、ああ、うん、そんな感じだ。・・・その、いつもじゃねえぞ? そうホイホイ手を出してる訳じゃねえからな?!」
何故か必死になるハシャーナに、ますますイサミが首をかしげる。
「いやまあ・・・男にはよくある話でしょう。俺はハシャーナさんがヤリチンでもガチホモでも女装Mの変態でも別に気にしませんから」
「あ、うん、そうか・・・あと最後だけはねぇから」
「そうですか」
ガチホモはありなのか、でも今は女装してるよな、体ごと女になってるけど・・・と馬鹿な事を考えて、思考を本題に引き戻す。
「で、その女に?」
「ああ。なんつーか、服の上からでもはっきり凹凸がわかるくらいのボンバーないい女だったんだが・・・服を脱いでさあこれから、ってところで喉をわしづかみにされてな。そのまま首の骨を折られてお陀仏さ」
「・・・レベル4のハシャーナさんを? それだけで?」
「ああ。抵抗する暇もなく、な」
沈黙が落ちる。
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