2話 それぞれの価値観
次の日、今日は入学直後に行われるスポーツテストの日で翔太はあの馬鹿でかい身長の高さをした上野がどのような記録を出すがとても気になっていた。
一学年の生徒全員が校庭に集まるとやはり上野だけが断然的に目立ち一人だけ違う生物がそこにいる感じになった。
そんな上野の身長が三メートル十二センチあるということを翔太は今隣にいる志賀からそう聞いた。どうやら志賀が昨日下校する時に上野に直接身長を聞いたと言ったのだ。
それで翔太は一つ思ったことがあった。
(あの体操着はどうしたのだろう、制服に関してもそうだけど)
一般的な人ならば学校が用意してくれたサイズで大丈夫だがあれぐらいの体型になるとそのサイズでは着られなくなる。
(まあ特別にオーダーメイドしてもらって作ってもらったのだろうな)
それから男子と女子に別れ翔太は五十メートル走で待機している時に女子のハンドボール投げを観ていた。女子の投げるボールの距離はなんとか数十メートル行くぐらいで飛距離があまり出ずそこまで飛ばない中、遂に上野の番がやってくると翔太だけではなく他の人達も気になり始め周りの沢山の視線がそちらに向いた。
上野は皆に注目されながらも何も動じず平然としていた、普通ならこれだけの人に見られながら投げるのはかなりのプレッシャーを感じるがそんな表情を見せる姿はなかった。
一球目、腕を大きく振りかぶり投げると放物線を描きながら勢いよくボールが飛んでいった、結果は女子高校生の平均飛距離を大幅に超えた八十五メートルだった。それを観ていた周囲の人は圧倒され固まってしまった。
今までボールを投げてきた女子とは違い力強く投げる姿は男子が投げる以上よりも凄いのではないかと皆が思っていた。
そしてすぐ二球目も投げるとボールはきれいな放物線を描いてまた記録が前より伸びて飛距離は九十四メートルでそれを観ていた翔太はこう思った。
(上野さんはたしかに物凄いのはわかったけど「凄い」の一言で済ますのはもったいない気がする)
その後も翔太は上野がやるスポーツテストがとても気になり遠くで観ているとやはり他の項目も平均以上の記録出していったのだ。
そうしてスポーツテストが終わった頃、翔太はしょんぼりしていた。訳はテストの結果の記録がほとんど平均以下でハンドボール投げに関しては女子の平均的な飛距離の十三メートルほどしか飛ばなかった。
(やっぱり体の体格が小さい人はスポーツには向いてないのだろう)
身長が同じ歳の平均よりも少し低い翔太はつくづくそう思った。
それで志賀も去年と比べあまり記録が伸びてないことに浮かない顔をしていた。
そうして今日は午前だけで学校が終わるので翔太は帰ろうとしていたが上野が下を見て探し物をしている姿を見てどうかしたのかと声を掛けると
「ちょっとヘアピンをなくしちゃって…」
そう聞いた翔太も一緒になくしたヘアピンを探すとすぐに探し物が見つかり上野はうれしそうにお礼を言った。
そうすると上野はとある所に注目した。
「これは…」
それは翔太がバックに付けているとあるゲームに出てくる電気を発するねずみのキャラクターだ、上野はこのキャラクター出てくるゲームがとても好きで翔太も同じく好きなのですぐに意気投合し帰り道の方向が駅までは同じなのでそのゲームの話などをしながら一緒に歩いていった。
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