ハーメルン
おかえりを言いたかった
インタビュー1 村中・早苗三等宙尉 インタビュー対象 兄 村中・光一


…あとは……

ーー

光一氏の目から雫が落ちる。

見ると、光一氏は静かに涙を流していた。

私は光一氏に「大丈夫ですか?:と聞くと、光一氏は「大丈夫です」と言われ、妹の話をするのにこれだけは外せない話がある…と切り出した。

ーー

妹と私には、ある約束事がありました。

妹が艦隊勤務で長く外出するときは、私は必ず「行ってらっしゃい」と、どれだけ喧嘩しても、どれだけ忙しくても、妹が家を出る前にはメールでもなんでも使って伝える。

逆に、妹が帰ってきたら、妹は必ず「ただいま」と私が家にいなければメールで伝えてくれて、私も「おかえり」と伝えて、その日は必ず私の作ったパンケーキを2人で食べるのが、恒例の行事になってました。

“あの日”本来なら妹が帰ってくる予定の日に、玄関のチャイムが鳴り、ドアを開けて、そこにいたのは…軍の事務官で、無機質に妹の戦死を知らせる言葉と、通知の紙を渡してきました。

私は…何を言われているのか、そして、戦死通知の紙の内容に、理解が追いつかなかった。

私は、“あの日”妹に言えたはずの“おかえり"が言えなかったこと、一緒にパンケーキが食べれなかったことを、未だに引きずってます。

ガミラスが憎い、ガミラスとの戦端を開いたのは軍上層部の一部の独断が原因だと、親しい軍人から聞きました。

私は、ガミラスも憎みましたが、その戦端を開く独断を行った上層部の人間も憎悪しました。

けれど、今はもうそんなのはどうでもいいんです。

私はあの戦争の後に、孤児たちを預かる施設を作ったのですが、ガミラスの子も、くる様になって…目の当たりにしたのです。

ガミラスの女の子が、地球人の子から袋叩きにされているのを…

地球人の子はガミラスとの戦争で家族を亡くした子たちでした。

ガミラスの子も、ヤマトとの戦いで親を亡くした子でした…。

私はその女の子を助けました。

何故か、ものすごく悲しくて、悔しくて、私たち大人が始めた戦争に、子供たちまで染まってしまうことが堪らなく悔しくて、申し訳なくて、やるせなかった。

それでも、前を向けたのは、引き取った子供たちのおかげです。

見て下さい、あれを



光一氏が示した方を見ると、ガミラス人の子供たちと地球人の子供たちが楽しそうに一緒に遊んでいる姿が窓から見える広場にあった。



あれが、子供たちの可能性です。

その気があれば、異星人とも友達になれる…そう言った軍人さんもいたと聞きました。

それがあの光景です。

ガミラスの女の子を助けた数日後のことですが、その子を袋叩きにしてた子たちが、その子に謝罪をしにきました。

自分達がやったことが間違いだったと、自分で考えて、行動した。

数ヶ月後には、ガミラス人の子たちと、その子たちを含めた地球人の子たちが仲良く遊んでました。

私はその光景に希望を見た。

ただ、それを妹にも見せてあげたかった。

妹と一緒にパンケーキを食べながら、色んな話をして、子供たちと遊んだり、そんな日常を送りたかった。

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