16話 そして全力の迎撃
新幹線の中で、特徴的なもみあげをした中年の男が葉巻をふかしながら、目の前の女性の死体を見つめる。その人物は、今回の公安襲撃を行ったヤクザの組長だ。
「銃だ……」
「ああ!あ……」
周りの乗客は、突然の銃の乱射に怯え震えている。
「付き添いの男は逃げたようです。探して殺しますか?」
「いや、もうすぐ駅に着く。もうマキマはぶっ殺したんだ。そんなことしてたら足が着いてすぐお縄だろう?そんなこともわかんねぇのか?ん?」
「す、すいません!組長!」
「はぁ〜。たくっ、これだから学のねぇやつは嫌いなんだよ。」
そう言い組長が移動しようとした、その時だった。
ブシィ!ブシュッブシャア!
マキマの死体から血が噴き出した。
「な、なんだ!?何が起きた!?」
組長が驚きマキマを見る。そしてマキマは、さらに体から血を噴き出し続けている。
「な、なんだ!?何が起きて!?く、組長!どうすれば!?」
「お、落ち着け!お前ら慌てんじゃねぇ!クソ!銃をマキマに向けておけ!」
部下のヤクザたちは組長の指示通り、各々銃の照準をマキマに向ける。
暫く血を噴き出し続けるマキマ。そしてその血がようやく止まり、沈黙が新幹線の中を支配する。
……そして、沈黙は唐突に破られた。
「ばん!ばんばんばん!ばん!」
撃たれて死んだはずのマキマが唐突に動き、指でピストルを作りつつ叫んだのだ。
「が!」「ぎ!」「ぐわぁ!」「うぐ!」「ぎゃあ!」
すると銃の照準を向けていたヤクザたちは体に穴があき、吹っ飛んでいった。
「な!」
組長は吹っ飛んだ仲間を見て困惑し、再びマキマに目線を戻す。殺したはずのマキマはしっかりと生きており、指で作ったピストルの銃口を組長に向けていた。
「ふー、ふー、ふー。……動くな。
両手を上げて……ゆっくりと膝をつき……地面に伏して……手を頭に回しなさい。」
マキマは血だらけの体で、組長を睨みながら言った。
組長は嫌そうな顔をし、マキマの指示に対しても両手を挙げるだけに留めた。
「チッ‥‥バケモンかよ。
まぁ、待ちなお嬢ちゃん。俺たちが襲撃する予定だったのはあんただけじゃねぇんだ。東京にいる公安対魔特異課のデビルハンター、全員を襲撃する計画を俺たちはしてる。
なんだったかなぁ……あんたのお気に入りの名前。そう!確かデンジっつったかなぁ?そいつも襲撃の対象だ。もし俺を殺したら、この襲撃を止める奴が居なくなっちまうんだ。わかるか?ん?」
なおも、どこか余裕を持った態度でマキマに相対する。
「止める?そんなつもりあるんですか?もうその計画はとっくのとうに始まってるんでしょう?……私への銃撃を合図に。」
「おおっと、学もねぇ癖に無駄に察しがいいな。だが、あんたのお気に入りは武器人間なんだろ?ぶっ殺されても生き返らせることができる。もし俺を見逃してくれんなら、デンジの死体をお前に返してやるぜ。それからお前が生き返らせればいい。」
「……随分と舐められたものですね。」
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