17話 罰の執行
駅にて、京都公安に所属する多数のデビルハンター達がこれから来る大物を待っていた。その中には京都公安の中でも腕利きのデビルハンターである天童ミチコ、黒瀬ユウタロウも含まれていた。
本来、たかだか1人のデビルハンターのお迎えの為だけに、ここまでの有力なデビルハンター達を態々向かわせる必要はない。それでもこれほどのデビルハンターを出迎えの為だけに派遣したのは、それだけその大物が重要視されていることの表れだろう。
その大物の名はマキマ。内閣官房長官直属のデビルハンターであり、公安対魔特異4課のリーダーである。
そして天童と黒瀬の2人がマキマが乗る新幹線が到着する場所で待機していると、情報を受け取った仲間が報告しにきた。
「大変です!東京で特異1課2課3課4課が銃で襲撃されたようです!
「「あ!?」」
その報告を聞いて2人は汗を流して焦った。
「マ、マジ……!?マキマさんは!?マキマさんはどうなったん!?」
「落ち着け黒瀬!そんな簡単にマキマさんがやられるわけないだろ!
襲撃の規模は?被害は?状況は?」
天童が黒瀬を落ち着かせつつ、報告にきた部下から詳しい情報を聞き出そうとする。
「は!現在入っている情報によると、襲撃者は現在確認できているだけで60名以上の大人数ということです!
襲撃者の武装はハンドガンだけではなく、サブマシンガンやアサルトライフル、スナイパーライフルなどの重装備で襲撃してきたとのことです。」
「お、おいおい……そないな武器を使うなんて、完全に戦争やないか」
「くっ、被害は!?被害はどうなんだ!?」
「そ、それが……現在流れ弾を食らった民間人などの負傷者についての情報はあるんですが……。
肝心の特異課での死傷者については依然情報が錯綜しているようで……死者が1人も確認できていないんですよ。」
「「はぁ!?」」
黒瀬と天童は声を合わせて聞き返した。
「どういうことだ……?襲撃を受けたのに特異課での死者が0人?敵の目的は特異課じゃなくて陽動?いや、そもそも襲撃者は殺す気がなかったのか?」
「いえ、多数の特異課メンバーが撃たれたという報告はあるので、殺す気はあったと思われます。ただ、撃たれた特異課職員の中で死亡したという報告が皆無なんです。」
「どういうことなんそれ?……いや、もしかしたらマキマさんが何かやったんかもなぁ。」
黒瀬は以前に協力した際のマキマを思い出す。公安対魔特異4課のリーダーを務め、メディア露出も非常に多いデビルハンターであるマキマ。
彼女は公安の中でも屈指のエリートであるにもかかわらず、決して偉そうに振る舞わず常に他の職員に対しても丁寧に接していた。
そしていざ、悪魔や悪魔の力を悪用する犯罪者との戦いになれば、彼女は自分の力を最大限に使い仲間が傷つかぬように動きつつ、敵を圧倒していた。
彼女の契約する悪魔は機密であり、黒瀬は知らない。ただ、その戦いの時に使用した能力を考えると鎖の悪魔や手錠の悪魔、あるいは警察の悪魔と契約していたと予想している。
彼女が別の悪魔と契約したか、あるいは他の職員になんらかの手を打たせるかして、仲間が死なないように仕向けたのだろう。黒瀬はそう考えた。
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