ドッペル名:PHEORIC
攪乱のドッペル 姿は、顔の上半分を隠す仮面 称号:混沌の仮面
説明:この意志の持ち主はその者の視界のみを奪い、心を恐怖で支配することができるだろう。
この仮面が映し出すものは、心が描く幻想のみである。
ドッペルとつながる部分 頭の半分の部分 その仮面の下を見るためには、それにまつわる話をしなければならない。それができるのは、この存在の目の前に立つ者だけだ。
この力を悪用する者がいれば、必ず裁きを受けることになるだろう。なぜならば、それは悪に対して行使する正義の力だからだ。悪意を持つ者には当然向けられる力だ。
だが、正義そのものが悪いわけではない。使い方さえ誤らなければ、誰もが救われる素晴らしいものだ。
この力を行使することは、悪を許さない勇気を持つこと。誰かを守ることができる強さ。
それはきっと魔法以上に素敵で、夢のような時間が訪れることだろう。
私はずっとそんな世界に憧れていた。でも、今は違う。私にも仲間ができ、守りたいと思える人たちができたんだ。だから……。
これは、私の過去。魔女を倒したときの話。
そしてこれは、私たちが出会った頃の、まだ何も知らなかった頃。
私が見たのは、真っ黒な影だった。まるで何かの怪物のような大きさで、大きな口を持っていた。
「ひっ……!」
恐怖で後ずさりすると、足元にあった小石の上に踏み外してしまった。後ろ向きに転んでしまった私の体に、黒い塊がぶつかった。そして次の瞬間、私の体が黒い地面に引きずり込まれた。視界の端で、誰かの助けを求める声を聞いた気がしたが、もう遅かった。
☆ 気が付くとそこは不思議な空間だった。私は何の前兆もなく、いつの間にかそこにいた。私の周りには何もなく、ただ真っ白な壁だけがどこまでも広大に続いていくようだった。空を見ることはできない。光すら差し込まないこの暗闇の中、どうして周囲が見渡せるのか不思議だ。ここがどこなのかはわからなかったが、少し歩いた先に明かりがあることに気が付いた。私は何かに誘われるようにゆっくりと進み、明かりを目指して歩いていった。
そしてしばらく歩いているうちに視界が大きく開けた。そこには一つのテーブルがあって、一人の少女がいた。年の頃は同じぐらい。髪は銀色で、前髪を真ん中で二つに分けていた。彼女は私の存在に気が付いて振り返り、小さく微笑んだ。ああ……あれは私の夢想なんだ。私は、私はあんな表情をしてもらえるような人間じゃないのに。
『こんにちは』私は目の前の少女に声をかけられたことに驚きながら挨拶をした。
「えっと……どなたかしら?」そう言いつつも彼女が魔法少女であることはすぐに分かった。なぜなら彼女の手の中にあるステッキには魔力を感じるし、顔は見たことのあるものだったからだ。それは間違いなく同じ学校にいるあの眼鏡の子だった。
けれど私が驚いたのは彼女に対する疑問ではなく、彼女が変身している状態の私を見た時の反応が予想と違かったからである。もっと騒いで襲ってくるものだと思っていたのだ。実際彼女は私を見てしばらく固まっていたものの、すぐに我に戻ると私に襲いかかってきたらしいし……。だからこうして落ち着いて彼女の話を聞いたのだが……。
「ご存知なかったんですか?」
何を?
「私は元からこうだったわけではありません」
まぁそうだね。今の貴女の見た目からは想像つかないけどね。
「昔は人間だったって話だもんね、私達。だからなんだろう……私達はそういうの抜きにしても似てると思う。あの人にとってはお姉さんみたいで大切な存在になってほしい。それだけだよ」
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