剣の縁 1
「やって参りました!」
『ドラァ……(はしゃぎすぎでは?)』
ホウエン地方から飛行機を乗り継いで、たどり着いたのは、ガラルの大地!
久しぶりに仕事と関係のない旅行ができて嬉しさのあまり踊っていたら、うちの『ギルガルド』じいちゃんに諌められて羞恥心に震えた夜を乗り越え、やって来ましたガラル地方。
観光目的で行く場所として、イッシュ地方の砂漠とか遺跡とかも面白かったし、明るく暑い常夏のアローラも良かったけど、ここガラルもなかなかいい場所みたいだ。
自然豊かな『ワイルドエリア』に、『冠の雪原』。
ロックの聖地でもある『スパイクタウン』。
温泉街である『キクルスタウン』。
ざっと見ても、名所でいっぱいである。
「まあでも、とりあえずはワイルドエリアだな」
そうである。
ここに来た一番の理由は、ワイルドエリア、たくさんのポケモンたちが蔓延るその場所は、何やら巨大なポケモンが現れて、手持ちのポケモン全てを出しながら戦えるそうではないか。
イッシュでのトリプルバトルでも体験できなかった手持ち全員のバトル。
もっとも、特別な事情がない限り手持ちを全て外に出していることの方が多いのだが。
「んじゃ、行くか」
いつものように『オンバーン』に跨がり空を舞う。
何事もなく終わるならば良いだろうが、ここはオンバーンが力を示し、邪魔するものがいなくなった生温い空ではない
「やっぱくるよな!」
『がぁ!』
空を舞うオンバーンに襲いかかってきたのは、『アオガラス』。
ゲットするつもりも、治療手段もわからないポケモンを相手にするのは、骨が折れるが……。
「少しずらして『ばくおんぱ』だ!」
伊達にカロスの荒らし屋と呼ばれていたわけではない、牽制に大火力の技を放ち、実力差を理解させる。
無論、地上のポケモンたちが傷付かないように、相手より高度を下げることを忘れない。
攻撃を相手の排除のためだけに行うのは二流、対象以外に被害を出すのは三流。
とあるトレーナーから学んだ言葉だ。
『がぁ!、がぁ!』
立て続けに飛び込んでくるアオガラスたちを振り切りながら、音の壁をぶち抜いて突き進む。
だが
『がぁ……ああ!』
あいにくガラルの空の主は、『ケンホロウ』や『ファイアロー』ではなく
「『アーマーガア』、話を聞くに人懐っこい奴だと思ってたんだけどな……、なかなかどうして、随分とやベーな!」
通常種よりも大きい四メートルの怪物。
アローラ地方ならば『ぬし』と呼ばれるであろう一帯を支配する最強のポケモン。
だが
「お先に失礼ってな!」
瞬間速度という点であまり速くないアーマーガアを抜き去ることなら容易い。
『がぁ!』
なわばりを荒らした相手を逃がすわけにはいかないと追ってくる怪物。
さあ
最新と太古が眠るこの空で
「突っ走るぞ!」
命懸けのレースが始まった。
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