ハーメルン
【書籍化!】『君は勇者になれる』才能ない子にノリで言ったら、本当に勇者になり始めたので後方師匠面して全部分かっていた感出した
4話 ユージン
勇者とは力が全ての存在だ。
俺
(
ユージン
)
が初めて勇者にあった時にそれを強く感じた。
俺は弱かったのだ、弱いからこそ抗えず全てを持って行かれるところだった。家族が魔族に襲われた死の間際。
諦めることしかできない怒りに震えていた時、奴が現れたのだ。
『……』
無言で現れた奴は脅威を嘲笑うように消してしまった。鉄仮面を被った一人の男、体長七メートルある化け物を一太刀で真っ二つにしたのだ。
血の雨が降り、その男の仮面から落ちる。
『……』
男は魔族を倒すとすぐに去ろうとする。
『――待て』
その言葉すらも言えなかったのだ。その強さにただ尻もちをついて呆然とするしかなかった。だが、俺の中にはその光景が焼き付いていた。
まるで太陽のような全てを照らす圧倒的な力。更には血の雨すら、その男の前では美しく見えるほどの狂気的なカリスマ性。
魅せられていた
一体全体、奴が何者なのか。俺は調べた。そして、すぐにたどり着いた。勇者と言われる存在であるらしい。
ただし、ただの勇者ではない。歴代で最も強き力を保有している、新たなる伝説。ただの貴族の息子である俺が手を伸ばすだなんておこがましいと一瞬だけ思った。
しかし、俺は力に魅せられた。あの強さに。
だから、必死に手を伸ばす。
そんな時だ、正に予想だにもしない出来事が起こる。勇者ダンが眼の前に唐突に現れた。
『俺は後継者を探している……』
『後継者……』
俺は力が欲しかった。ずっと一族の中でも最弱と言われ、周りからも下に見られていた。だから、強くなりたかった。
俺はあの手を……
◆◆
騎士育成校での演説が終わった。演説と言っても過去の俺達の偉業を語るというつまらないモノであった。妖精魔術師リンリン、貴族剣士サクラ、無垢格闘家カグヤ、そして勇者俺。
まぁ、嘗ては伝説と言われた俺たちなのだから、錚々たる面子であることは否定しない。だからと言っても一体何回演説をすればよいのだろうか。
騎士育成校は生徒に刺激が欲しいと言うけれど……何回もやったらそろそろ飽きてくるだろう。
終わった後は、三人と昼食を共にした。断る理由は無いけど、格闘家のカグヤが俺の鉄仮面をちょくちょく外そうとすることを除けばのどかなものだ。
カグヤは昔から鉄仮面外そうとするからな……、理由は知らんけど。
「おい、勇者」
先ほどまでの回想に浸っていると、鋭い声が俺に降りかかった。そこにはオレが眼をかけた、新たなる勇者候補、七人のうちの一人であるユージンが俺を睨んでいた。
彼はとある名家貴族の息子、今年で15歳。元は落ちこぼれとか言われていたのだが、俺はそうは思わなかった。才能がないというわけではなく、周りの才能が大きすぎた。
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