ハーメルン
【書籍化!】『君は勇者になれる』才能ない子にノリで言ったら、本当に勇者になり始めたので後方師匠面して全部分かっていた感出した
8話 筆記試験
ウィルと訓練を始めてから三か月が経とうとしていた。彼はメキメキ強くなっているが正直、七人の候補の中では未だ最弱である。これは最初から分かっていたことだ。しかし、強さは思ったより伸びているのは事実なので……ちょっと驚いている所もある。
ゴブリンの時の戦闘を見て、意外と土壇場に強い王道的な個性なのか、どうなのかは分からないが……いずれにしても俺は全て分かっていた感を出すことに決めている。
さて、今日もウィルの訓練と言いたい所なのだがまさかの今日は休みである。更に次の日のユージンの訓練も休みだ。何故かと言うと冒険者登録試験があるからだという。
一泊二日で行われる試験日と二人の七日の一回の訓練が重なってしまった。こればっかりは仕方ないよね。
と思いながら休日をどうするべきか俺は考えた。
そこで俺はあることを思う。勇者として引退をした後はどうするべきなのだろうかと。
今までの魔王討伐資産でニート? いやいや、もうご老体に入る両親が働いているのに息子の俺がニートって考えられない。それにこの世界にはサブスクとかスマホとかWi-Fiが存在しない。
一日中どうやって過ごせば良いのだろうか? 暇すぎて死ぬ。
という事はある程度の職業についてこの世界に置いての普通の生活とかをする方向になるのではないだろうか。
勇者として生活するよりはずっといいだろうし、この方向性で考えよう。うーむ、だとすると冒険者登録をしておいて身分証を新たに発行しておくのも良い手かもしれない。
冒険者になること、つまりはギルドと言う冒険者を纏める組合に冒険者として登録をされるという事だ。
以前までとは違い、冒険者になるには試験が必要でありこれに受かった者はかなりの優秀な存在として重宝されるらしい。ようは簿記一級みたいなもんだろう。
ふーむ、ウィルとユージンが試験一緒だし二人の絡みも気になる……。丁度いい、鉄仮面取って俺も試験受けるか。
今までバレたことないからバレるわけないわ。何年も旅している仲間ですら気付かないんだもん。後はオーラも普段と変わるしね。
口調も変えておくか……僕はダン、よろしくー。こんな感じの好青年で、名前はそのままだと不味いからダンではなく、『バン』にしよう。
弟子の監視も出来るし、一石二鳥とはこのことだ。俺は試験に行くことを決心した。
◆◆
ウィルは震えながらポポの町と言う場所を歩いていた。動きがロボットのようにカクカクしており、上がり症で既に思考が混乱している。
(ここ、ここで冒険者登録試験が……えっとどうすれば!? 先ずは受付!?)
彼の前方には立派な二階建ての大きな建物がある。ウィルはそれが冒険者を取り仕切る冒険者ギルドであることに気付いた。
「あ、あそこかな?」
さらにはギルドの前に大きな銅像がある事にも気付き、目が釘付けになる。鉄仮面を被り、顔は見えないが剣を掲げている英雄の象。勇者ダンの姿の彫刻がそこにはあった。
当然だ、なぜならこの町は勇者ダンが初めてギルド登録をした場所であるのだから。
「う、うわぁぁ! ゆ、勇者ダンの像……」
「……」
ウィルが銅像を見上げる。しかし、それに夢中で気付かなかった、彼の隣にはもう一人その像を見上げている存在が居ることに。
[9]前話
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:1/6
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク