ハーメルン
愛こそが最高の宝と信じるラブヒーローはどこか壊れてる
ラブヒーローは本気で戦う
「――最近、よく苛立つ」
ラブヒーローが手で顔を覆った。
「思い返すと、その大体の原因は……私の過去を探り回る貴様らだ。
……私の過去を漁って何になる? 果てしなく無意味だ。言っておいてやるが、私の身内はもういない。本当に価値がないんだ」
ビキッと、顔を覆う手に血管が浮かぶ。
低い、低い、怒気の籠った声。
「特に貴様だ、ゼファー。
私はシャボンディ諸島で海軍を引退しろと言い、その御大層な
機械の腕
(
バトルスマッシャー
)
まで壊したよな? それが何をどう転んだら、もう一度腕を付けて挑んでくることになるんだ?」
「…………」
「それに、どうして青雉が私の『
本
(
・
)
名
(
・
)
』を知っている。調べたのか?」
何も答えないゼファー。
青雉もゆっくりと立ち上がり、元海軍大将と現海軍大将がラブヒーローの方を向く。
背後から、白ひげのグラグラの実が発動する音が響いて来た。
恐らくエースを追った赤犬と交戦しているのだろう。モンキー・D・ルフィ達の救援に行く必要はない。
つまり、ラブヒーローが彼らを助けに行くということはなく。
この戦場でトップ10に食い込む強者たちが衝突するのはもはや避けられなかった。
ゼファーが、バトルスマッシャーを構えながら言う。
「ラブヒーロー、悪いことは言わん。……もう大人しくしろ」
「……悪いこと? 大人しくしろ?
私に向かってもう関わるなと言ったはずだ、この時代遅れの老兵がッ!! いちいち口を挟むなッッ!!」
怒りが頂点に達したのは、顔から手を外して声を荒げるラブヒーロー。
濃い赤のバイザーで表情は見えないが、きっと怒りに満ちた恐ろしい形相をしていることだろう。
ギチギチ……!と、周囲の空気から異音が鳴り始める。
「―――貴様らの
手
(
・
)
足
(
・
)
を消し飛ばそう。一生車椅子と仲良しこよしにしてやる。そうすればもう私の前に姿を現すこともない」
向かい合う青雉が、恩師であるゼファーの前に手を出す。
「ゼファーさん、下がっててくれませんか。ここは俺が……」
「馬鹿野郎。クザン、お前ひとりで抑えられる相手か」
ゼファーは青雉の腕をどかした。
懸賞金32億2000万というのは運で付けられるような金額ではない。天竜人を殺したという大犯罪を加味しても、そんな金額が付くことはそうそうない。つまり、大犯罪という土台の上に圧倒的かつ純粋な強さが乗っかっているのだ。
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