第2話
どうも、Aクラス最大の弱点(予定)こと高城晴翔です。
俺がAクラスであることにまだ納得がいかない。不正に対して抵抗のある教師が俺をDクラス行きにするとか、そんなことはなかったんだな。所詮、教師達も雇われてるだけの存在ってことか。権力に弱いのはそこらへんのサラリーマンと何も変わらない。
……そういえば、原作で一人退学させるためだけに変な特別試験を作るような人がいたのを思い出した。それが許されるぐらいだから、理事長権限なら一人Aクラスにねじ込む程度なんてことないのかもしれない。
俺はゆっくりと教室の扉を開けた。
教室に入ると、すでに多くの生徒たちがいた。
アニメでしか見たことのない面々。
葛城、戸塚、橋本……そして、神室さん。
こいつらと、これからクラスメイトになるのか。
そうか。
やっぱり、どいつも俺とは違うオーラがある。平均的に賢そうだし、原作でいろいろやらかしていた戸塚ですら俺からすると相当優秀に見える。まだ何もしていないのに、アウェー感がすごい。有栖ちゃんはともかく、俺は完全に場違いって感じだ。
この感じ、中学と全然変わんねーわ。
やりづらい。あまり仲良くする気も起きなかった。帰りたい気持ちがより強くなった。
きっと、自分の成績を自慢したりするんだろうな。
意識高い系の勉強会とかするんだろうな。
……今後、俺が能力的に劣ることを知ったらマウントを取ってくる人間もいるだろうな。
もちろん人格的に優れている者もいるだろうが、全員そうだとは思えない。
勘違いしている奴ってのは、決まって偉そうにするものだ。
あぁ、急にダルくなってきた。やっぱりこのクラス、俺には合わんわ。
クラス移動って2000万だっけ?有栖ちゃんも一緒なら4000万か。無理無理、終わった。
せめてDクラスだったら、多少は親近感というか、溶け込みたいという意欲や仲間意識も湧いたのかもしれないが、ここでは無理だ。
身の丈に合わない環境というのは、居心地が悪い。学力の高低で行ける高校が変わる受験システムは、レベルの高い生徒だけでなく、低い生徒にもメリットがあると痛感した。
有栖ちゃんとは隣の席になっていた。理事長様、こんなところまで細やかな配慮ありがとう。
もちろん皮肉だけど。
「……みなさん、お元気ですね」
「そうだな」
クラスメイト達が歓談する様子を見つめる。
有栖ちゃんはどう思っているんだろう?原作のように、支配欲みたいなものを出してきてるんだろうか。どうもそんな感じには見えないが。
着席してしばらくぼーっとしていると、Aクラスの担任である真嶋先生が入室してきた。なるほど、なかなかカッコの良いオッサンだ。
「おはよう。今日からこのクラスの担任を務める、真嶋智也だ」
先生の自己紹介から始まり、あとはこの学校のシステムについての説明があった。大体知っていることだが、細かい違いがあるかもしれないので、一応真面目に聞いておく。Sシステム、10万ポイント支給、外部からの遮断などなど。来月以降のポイントに言及しないことも含めて全て予想というか、原作知識通りだった。
隣の有栖ちゃんを見ると、何やら考え込んでいる様子。
この段階でどこまで察しているのだろうか?
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