ハーメルン
脳筋ネタキャラ女騎士(防御力9999)!
3 動作アシスト(ポンコツ)


「おおおおおおおッ!!」
「グギャッ!?」

 必☆殺!!
 女騎士スクリューアッパー!! 
 ステータスポイントもドーピングアイテムも使っていない素の力とはいえ、それでもレベル99の怪力から繰り出された必殺パンチ。
 序盤のエリアボス程度が耐えきれるはずもなく、哀れ、ワータイガーの頭部は爆発四散した。

「うっ……!」

 やべぇ、吐き気が。
 頭部爆散はグロ過ぎんよぉ。
 でも、こういうのに慣れたユリアの記憶と感覚を受け継いでるおかげで、リバースまではしなかった。
 ホント、異世界人のメンタルは現代人とは比べものにならんわ。

「ふぅ」

 なんにせよ、終わった。
 ワータイガーはお亡くなりになり、胸の奥から湧いて出た八つ当たりの感情も消えてくれた。
 残ったのは巨大な虎の死体と……手に残る、生き物を殺した嫌な感触のみ。

「ああ、本当に、実感させられる……」

 ユリアっぽく変換されたが、今のは間違いなく俺のセリフだ。
 この生々しい感触、絶対にゲームのそれではない。
 感触以外もそうだ。
 体重差、踏ん張り方の技術、どれもターン制のゲームでは無かった要素。
 どこまでも現実的な要素。

「これは、ゲームではない」

 ここはゲームの世界なのかもしれないが、紛れもなく現実だ。
 死ねばゴールドの半分とアイテムのいくつかをロストして、セーブ地点からリスタートなんてことはない。
 死ねば、それで終わりと思った方がいい。
 目の前の虎が、ドロップアイテムも残さず無惨な死体になったように。

 魔王の攻撃でもダメージを受けないという無敵性も、どこまで信じていいかわからない。
 無敵のキャラを倒すなんてストーリーは、漫画でもアニメでも何度も見た。
 生コンクリートで固められて海の底にでも沈められたら、窒息で死ぬだろう。
 縛り上げられて放置されるだけでも、いずれ餓死する。

 そう考えれば、このネタキャラスペックは無敵でもなんでもない。
 油断せず、できうる限り慎重に戦おう。
 なんとか元の世界に帰れる、その時まで。





 なお、その直後。 
 ワータイガーとの戦いと、ここまでの大逃走で汚れきった体を洗おうと水浴びを敢行したところで、元の世界に帰りたいという俺の決意は大いに揺らいだ。

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