ハーメルン
脳筋ネタキャラ女騎士(防御力9999)!
6  まな板を追いかけて

「君! ちょっと待ちなさい!」
「何よ!!」

 まな板少女を追いかけて声をかけてみたら、「シャーッ!」って威嚇する猫みたいな感じで睨まれた。
 年齢と小柄な体格のせいで迫力ゼロだ。
 これ、人攫いとかのいいカモだろ。

「さっきのギルドでの話は聞いていた。無茶をする気ならやめておきなさい。魔法使いが一人で突っ走っても、死ぬだけだ」
「うるさい!! あんたには関係ないでしょ!?」
「関係ある」

 重々しくて、迫力のある声が口から出た。
 まな板少女がビクッとなる。
 俺はもう、勝手に動く口と表情に身を任せて、なされるがままだ。

「私もリベリオールの生き残りだ。同胞を放ってはおけない」

 頭の中に故郷の情景が浮かんできて、胸が締めつけられるような寂寥感が襲ってきた。
 だから、トラウマメモリーをいきなり流すのはやめろとあれほど。
 いや、今回はトラウマというよりは、もう少し優しくて寂しい感じの何かだけれども。

「生き急いでもどうにもならない。故郷の仇はどこに消えたのかすらわからないんだ。
 だから、少し落ち着け。落ち着いて一歩一歩進んでいくんだ。
 結果的に、それが一番の近道になる」

 優しい声で、気づかうような感じで、(ユリア)は諭すように少女に語りかけた。
 まな板少女の表情が歪む。
 ちょっと涙がこぼれそうになってる。
 ああ、この子は多分、自分を奮い立たせるために強がってたんじゃないかと、そんな風に思わせてくる顔だった。
 しかし……

「うるさい!」

 まな板少女は頑なに弱さを認めず、強がりを貫くかのように、強気な声を絞り出した。

「私はリベリオール王立学園の主席! 稀代の天才魔法使い『ミーシャ・ウィーク』よ!
 生き残った強者として、私がやらなきゃいけないの! 私にはあいつを倒す義務があるの!
 田舎者丸出しのあんたと一緒にすんな!!」
「あ、待て!?」

 まな板少女は逃げ出した!
 身体能力的には余裕で追いつけるはずなんだが、向こうは自分の身体能力の無さを自覚してるのか、入り組んだ路地裏に入って俺を振り切ろうとしてくる。
 『追え!』というユリア様の思念が伝わってきたので、俺も全力で追跡したんだが……あのまな板、逃げ方が上手い!

 曲がり角を多用してこっちの視線を切り、ならばと足音を追っていったら、いつの間にか足音の主が別の奴にすり替わってて、あっさり見失った。
 鬼ごっこの達人か、それとも純粋に頭が良いのか。
 魔法使いは知力がものを言うから、後者の可能性が高いかもしれない。
 脳筋女騎士✕ザ・凡人の負のハイブリッドである俺じゃ、どうにもならなかった。
 おまけに……

「おいおい、姉ちゃん。こんな薄暗い場所に一人で来るとか、感心しねぇなぁ」

 薄暗い路地裏にて、俺は無数のホモ達に囲まれてしまった。
 全員が下卑た笑みを浮かべてるし、先頭に立ってるのは、なんか見たことあるようなおっさん。
 あれだ。
 冒険者ギルドで舐めるような目で我がおっぱい様を見てきた奴だ。
 首から赤色の認識票をぶら下げてるし、間違いない。

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