01:王子、乙女の寝込みを襲うなんて最低です!
身体が前につんのめる。
バランスを取るとか、腕に力を入れるとか、そんな対処方法を思い浮かべる間もない。
わたしは前に倒れ込み、何か硬い物に思い切り額をぶつけてしまっていた。
「ってて……」
床にペタリと座り込んで額に手を当てる。
かなり強くぶつけたらしい。
ゴチンと骨を打った音がしっかりと耳に残っていた。
目がチカチカする。
「リカルド様……?」
一体わたしに何をしでかしたのですか?
そう言って問い詰めるため、わたしは寝たふりをやめて周囲を見回した。
「あれ?」
変だ。
ベッドで横になっていたはずなのに、今のわたしはベッドの下で尻もちをついていた。
それに頭を打ったせいか、先ほどから耳に届く自分の声が妙にこもって聞こえて変な感じだった。
あとそれに、リカルド様の姿も見当たらない。
おそるおそる膝を伸ばして腰を持ち上げる。
先ほどまで自分が横になっていたはずのベットの上を覗き込む。
リカルド様と身体の位置を入れ替えるようにして、ベッドからずり落ちてしまったのだろうかと考えたのだ。
だけど、リカルド様はそこにもいなかった。
その代わり、ベッドの上には、目を見張るような美しい顔だちの女性が横たわっている。
「だ、誰!?」
思わず大きな声で問いかけた。
けど、返事はない。
彼女は目をつぶったまま、どうやら眠っているらしい。
おでこの部分が少し赤く腫れているけど、そんなことお構いなしにスヤスヤと寝息を立てている。
いや……、あれ?
あれ、これって……。
「わたしぃ!?」
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