03:ここでプロローグ挿入 アシュリー嬢が見舞われた不幸の波状攻撃を見てみよう
アシュリーが必死で声を掛ければ掛けるほど、リカルドは彼女から顔を背けるようにした。
そんなリカルドに向かってヴィタリスがその豊満な肉体を寄せる。
自分の身体を盾に、アシュリーの目からリカルドの姿を隠そうとでもするように、ヴィタリスが彼の肩に触れながら大仰に芝居を打つ。
「ああ、お可哀そうなリカルド様……。早く誰か、王子を睨みつけるあの毒婦を遠ざけて!」
ヴィタリスが叫ぶと、それに続いて壇上の男が再び高らかに宣言する。
「リカルド殿下とアシュリー嬢の婚約は撤回された! アシュリー嬢は密通罪の嫌疑が晴れるまで無期限の謹慎処分とする!」
王宮を揺るがす大事件を受けて広間中が沸いた。
そのどよめきの中、アシュリーの身体がグラリと傾き、前のめりに倒れ込む。
冷たい石の上に大きな音を立てて倒れ伏した令嬢の姿を見て、周囲の者たちは、ひときわ騒々しい悲鳴や、がなり声を上げ始める。
アシュリーはその喧噪の中、朦朧とした意識で、自分の名を必死で呼ぶリカルド王子の声を聞いた気がした。
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