04:リカルド王子の身体でできること?
本当に、なんて一日なの!?
次から次に驚くことばかり……。
わたしがあの身のすくむような婚約破棄の場面を思い出して震えていると、大きな音とともに部屋のドアが開かれた。
顔を上げるとお父様がお医者様を従えて入って来るのが見えた。
思わず目が合ったお父様が驚いた表情をなさる。
「お父様……、き、聞いてください。大変なことが……」
わたしが慌てて駆け寄ると、お父様は二、三歩後ずさり、そして、わたしに向かって恭しく頭を下げた。
「誰が、誰のお義父様、ですかな? それを拒んだのは、他ならぬリカルド殿下ではございませんか」
わたしは思わず、アッと声を上げて口に手をやる。
あー、駄目駄目。
わたしは今リカルド様なのだった。
それにこんな仕草。
リカルド様の頭がおかしくなったのだと思われてしまうわ。
えーと、リカルド様はもっと凛々しく優雅な立ち振る舞いで……。
「申し訳ありません。殿下。娘の一大事ですので、どうかご退室を。それに、謹慎中の身の上で王子とお会いするなど許されぬことでございましょう?」
「えっ、と、あの……」
わたしがまごついている間に、後から入ってきた男たちによって、リカルド様のわたしは部屋の外に連れ出されてしまう。
ああ、待って。中にはアシュリーのわたしが……。
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