やすらぎのアオいひととき
どうにもならないまま疲弊し続ける自分が情けなくて、それでも頼る相手なんかいない。ヒビが入り始めた心を繋ぎ留めたくて、私は自分で引いた線を乗り越えてしまったんだ。
大喜くんは私を責めることも、問い質すこともしなかった。ただ誕生日を祝い、隣に寄り添ってくれた。
その時に沸き上がったのが、なんと言う感情なのか私は知らない。
分かっているのは、一つだけ。
それがとても、心地良いということ。ずっと浸っていたいくらいに。
「でも、なあ……」
大喜くんにこんなモヤモヤした得体の知れない気持ちを押し付けるのは悪いし、それに蝶野さんが大喜くんに告白したらしい。このまま楽しんでいられるような、ユルい状況ではなさそうだ。
どうしよう、かな。
私が下手に動けば、すべてが台無しになる。でもこのまま留まってはいられない。
大喜くんは大きな壁にぶち当たり、うちひしがれている。あの日の私のように。
隣にいてあげられないのが辛い、でも私に何が出来るだろう。何も出来なくとも寄り添いたい、なんてのは只のワガママだ。余計に大喜くんを押し責めるだけでしかない。
でも、それでも。私は大喜くんに救われた、だから力になりたいと強く思う。
私はどうなりたいのか、どうしたいのか。いつか答えを見付け、この気持ちに名前を付ける日が来るのだろうか。
再び猪股家へ戻るときには、結論を出せていると良いんだけど。
願わくば、それが良い結末を導きますよう。私は祈っている。
なんにせよ、明日だ。明日朝練で大喜くんに会って、すべてはそれから。
さぁて、どう出るかな。
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