ライブと竜
どうも、同級生の可愛い女の子(毒舌ベーシスト)からライブ観に来いと誘われた雷狼竜です。
早めに寝たんですけどね、まさかのライブ開始30分前なので後10分以内に朝ご飯を食べないと、確実にライブに間に合いません。
「という訳で早速爆速飯を作ってしまおうかな」
先ずはいつも通りに鶏胸肉を冷凍庫から出して解凍を始めようとした瞬間、あの子の言葉が、脳裏に宿った。
『絶対、観に来てね。アタシ竜のために頑張るから!』
「……本気出すか」
そう言って俺は冷凍庫をそっと閉じたのだった。
♪♪♪
アタシはソワソワしていた。彼がいないから不安で不安で仕方がない。震えが止まらない。なんならずっと彼の名前を呼んでいる。だって、だって……
「アイツ遅刻したら許さない」
雷狼竜は遅刻魔だからだ。
「リサ顔が怖いわよ」
「アイツって……雷狼さんの事ですか?」
「ああ、今井オネエ様が最近ほの字の方ですか」
「紗夜さんなんかキャラ違くないですか?」
「しかも紗夜のお義姉様に違和感しかなかったんだけど」
「るんってしますね」
「もう貴方実は日菜とかじゃないわよね?」
「とりあえずギュイイーンって演奏しましょう」
「紗夜、頭冷やそう? ね?」
Roseliaのみんながリサよりも紗夜を心配していた。ボーカルの湊友希那はリサに言う。
「それで、その雷狼竜って人はアレよね、確か料理が美味いってリサがずっと言ってた人よね? 最近その人と一緒にいるの見てるわ」
「うん。でも、アイツ遅刻魔だから。この前も5分で学校来ないと間に合わないって言って、パスタ10分茹でて遅刻してるからさ」
「彼が花咲川にいたら風紀委員として拷問しますね」
「紗夜さんが急に元に戻った」
「アハハ……でも、料理教えてくれるし、アタシの事を女としての今井リサで接してくれるし、なんやかんや言ってもアイツ勉強とかも出来るし、この前ルナと出かけた時にたまたま会って、なんか料理の話で意気投合してたから仲良いんだよね。昨日だってお弁当お互いに作って食べさせたりしたけどすっごい美味しいんだよね! まぁ、お弁当作って30分遅刻してるけど」
「紗夜、燐子、あこ行くわよ。あのリサは止まらないわ」
「……リサ姉」
「……あ、ごめんあこ……あこも竜の事好きだもんね」
「……あこね、竜兄に振られたからもういいんだ」
「え?」
あこから急な話を聞いてアタシは驚いた。でもあこは笑顔を浮かべて
「竜兄があこに言ったの。『俺はあこが好きだけどそれは恋仲じゃ無いんだ。ごめんなさい』って。だからこのライブであこを振ったことを後悔させるくらい闇の力で全てを魅了する演奏をするって決めた」
「……あこ」
「ヘマはしないよ。あこは竜兄に呪いをかけるから。あこを振った後悔を竜兄にさせるの!」
「……ならアタシは竜に私しか見られない呪いをかけようかな」
「あこはましろよりリサ姉を応援するよ。だって竜兄リサ姉といる時楽しそうだから」
「それじゃあましろを倒す。それだけだね」
「ましろ可哀想」
「あこはどっちの味方なのかな?」
「2人ともそろそろ出番よ。リサ、あこ、ライブに私情を持ち込むのはやめなさいと言いたいけど、譲れないなら勝手にしなさい。演奏壊したら許さないけどね」
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