過ちを犯した結果
「リサを助けてくれてありがとう、お礼を言うわ」
そう言って深々と頭を下げるのは男でありオネエ系男子の今井ルナであった。
「頭上げろよルナさん、確かにリサが絡まれてたから助けに行ったとはいえだ、やり方が悪かったんだ。リサも怖がってただろ?」
「リサはしばらく泣いて部屋に篭っていたわ。でも、それは怖いからもあるけど1番は」
「貴方に手を出させてしまった事」
「……っ、なんで」
「確かに絡まれて怖かったって言ってたけど、それ以上に竜の手が汚れた事を気にしてたのよ」
「今回私が来たのは、リサも貴方と同じように合わせる顔がないから。まぁ、私は悪く言えばコマね」
「……なんで俺の思いがわかんだよ?」
「だてにオネエ系やってないのよ。色んな人の相談乗ってたら花咲川の慈愛の女神なんて付くくらいは人を見てるの」
「……まぁ、停学終わってもリサに声をかけられないのは事実だよ。あいつ泣いてたし。絡まれたって面でも、俺がキレたのを見たって面でも、どっちに転んでも俺はあいつに合わせる顔はねぇ」
「……不器用ね2人とも。まぁ、私が言えた義理はないけど」
「あ?」
「知らないと思うから言うけど、リサって基本Roseliaとかだと色んな人の話をするのよ。それも分け隔てなくね」
「……5人全員か?」
「リサ抜いて4人よ。後1人はどこから出たの?」
「いや、お前もRoseliaかと思ったんだが」
「……私は、違うわよ。もう! せっかく解決したのにまた嫌な事思い出させないでちょうだい!」
あまり聞いてはいけなかったみたいだと考えた竜は話題を逸らす。
「……んで、リサがどうした?」
「そうよそれよ。基本はRoseliaとかだと燐子、紗夜、友希那、あこの全員の話を同じような割合でするのよ。まぁ、友希那が優遇されてるけどね」
「でも、羽丘の話になると、話題になるのはほぼ貴方なのよ。これってリサにしてはあり得ないことなの」
「……それで?」
「はっきり言うわ。貴方達両想いよ。想いの大きさや考えは違えどね」
ルナの言葉を聞いて少し顔が熱くなる。だが、ルナの次の言葉を待った。
「リサも貴方も人の事考えすぎて自分が疎かになるの。自分の幸せなんて自分でしか与えられないんだから。自分で動くしかないのよ」
「……少なくとも人を考えてたら俺は遅刻なんてしないけどな。リサから聞いてるだろ? 遅刻魔ってよ」
「でも、リサのライブは時間通りに来た。それが答えよ」
「……別に、あいつが怒りそうだから早く来ただけだ」
「じゃあ聞くけど、貴方は緊急以外の待ち合わせに遅刻した事あるの? 学校は無機質だからノーカンよ」
「あこと燐子が遊んだ時も、私と出かけた時も、リサにライブ呼ばれた時も。貴方は遅刻したかしら?」
確かにルナの言う通りだった。学校はどうでもいいから遅刻してるけど、リサの時は緊急であことましろが喧嘩したからと、呼ばれた時に遅刻しただけだった。
「どうやら図星のようね。それが事実なら貴方は仲の良い人のためなら遅刻なんてしないのよ。それが、他者を思いやる力よ」
「そんな適性みたいに言われてもな」
「そんな貴方におすすめな人が今井リサ。あの子は料理も裁縫も掃除洗濯もなんでも出来ちゃうお嫁候補No.2よ」
「No.1は?」
「私の彼女に決まってるでしょ」
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