ハーメルン
ショタっ子魔法師は風魔忍
14.第一高校に潜む者

 クラブ勧誘最終日。

 最終日にもなると、ほとんどの新入生がどこかしらの部活に入部、または仮入部したので前半ほど壮絶な取り合いは起きず、比較的落ち着いた雰囲気が流れていた。
 
 だが、落ち着いているのは他の理由もある。

 それは魔法使用違反者が悉く通報され、処分されているからである。

 主に通報されたのはとある二科生の風紀委員を狙った一科生たち。

 見事なまでに魔法で二科生風紀委員を攻撃した瞬間、逃げた瞬間を録画されており、続々と通報されてあっという間に風紀委員や生徒会、部活連に逮捕された。
 これにより、半分近い魔法系部活動が何かしらの処分が下る事態となり、二科生風紀委員への攻撃はもちろん、普段ならば絶えず起こる喧嘩騒動がピタリと収まっていた。

「はぁ……複雑ねぇ。達也くんを狙う人やトラブルが無くなって、私達は暇になって他の仕事が予定より捗って万々歳ではあるんだけど……」

「例年の倍の違反者が出たのは喜べんな……。それは俺達の存在が抑止力になっていないことに他ならん」

「まぁ、そもそもこの通報者は誰なのか、にもよるだろうがね」

 部活連本部で真由美、克人、摩利はため息を吐き、眉を顰め、苦笑しながら会話する。

 出動する事案が無いに等しい状況となったため、巡回はそれぞれの部下達がメインで動いている。
 それに3人は大量に出た違反者の処分や違反者を出したクラブへの対応を話し合う必要もあったので出動する暇がなかった、というのもあるが。

「誰って、どう考えても風火奈くんじゃない? ほとんど木や建物の上から撮られてるし、達也くんが『エガリテ』のターゲットになってる可能性があるって言ってたから、彼なら陰からサポートするくらいやると思うわよ?」

「だが、それにしても網が広すぎじゃないか?」

「……風魔の者が忍び込んでいる可能性があるか。……まぁ、『エガリテ』の者達を監視するには人手がいるだろうから、忍び込んでいてもおかしくはないが……」

「それはそれで複雑よねぇ……」

「だが、風火奈に調査を頼んだのもお前達じゃないか……」

「だから、複雑だって言ってるんじゃない。ホント……忍術使いの恐ろしさが良く分かるわね」

「それはそれはありがたき御言葉です」

「「「!!」」」

 真由美が再びため息を吐いてボヤいた直後、新たな声が3人の耳に届く。

 弾かれたように視線を向けた3人の視界が捉えたのは、いつも通り胡散臭い笑みを浮かべた咲宗だった。

「……相変わらず突然現れるな、お前は。ノックと言う文化を知っているか?」

「これが忍術使いのノックですが?」

「んなわけあるか!」

「落ち着け、渡辺。……何か調査に進展があったのか?」

「とりあえず、一連の通報については釈明しておこうかなと思いまして」

「風魔の者が校内に忍び込んでいることか?」

「それについては誤解があります」

「誤解?」

「確かに一時期は拙者の部下に一校内を調査させましたが、この数日は校外の調査に注力させていますので、校内には風魔に属する者は現在は存在していません」

「……それはつまり他の勢力が忍び込んでいると?」

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/5

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析