第13話:プールトレーニング
夏に入って今日は初めてのプールトレーニング。大体7月中旬に入ってからの初トレーニングな訳だが。本来のプールトレーニング開始時期は7月の頭からの予定だった。
「ところで、プールの許可を取るのに俺らのところだけかなりの時間を浪費した。その事情に心当たりのあるものは挙手してくれ」
スクール水着を着て俺の前に並ぶ3人は三者三様の反応を見せた。テイオーは心当たりはないらしく、俺を見た後に自分の左右をチラっと見ていた。
デジタルの方はテイオーとタキオンの水着を眺め……拝んで話が入ってないだろう。
「いやはや……そんな迷惑をかけるメンバーがうちにいるわけないだろうに。一体なんでだろうねぇ……」
タキオンの方も反応的には特に心当たりは無いご様子。反応的には。
「お前らアグネスコンビのせいだろうがああああ!」
本当にこの数週間大変だった……生徒会に謝罪したり、学園側に色々と頼み込んだり。書類を書いたり処理したり。
「デジタルはプールでの奇行の数々。タキオンはプールに薬物入れたらしいじゃないか?」
「奇行とは失礼ですよ!私はただウマ娘ちゃんたちの尊みにやられただけです!」
「あれはただの疲労回復効果がある薬だ。体外吸収も良いから実験がてらプールにばらまいただけじゃないか!」
どうやら、ここまで言っても2人はまだ自分たちのせいではないと主張したいらしい。
「お前ら学園でなんて言われてるか知ってるか?七色に輝く変人と変人だぞ!全く……責任は担当の俺にだいたい来るんだからな……とりあえず、トレーニング開始だ!テイオーとデジタルはアップ行ってこい」
デジタルは最近テイオーと一緒にトレーニングに参加している。最初はトレーニングに付き合う感じだったんだが、気づいたら一緒にトレーニングしていた。
一方タキオンの方は自分で色々と進めてるらしい。トレーニング中に筋トレしてたり、トレーニングメニューを色々練っているって言ってた。
「それにしても、さっきの反応は予想外だったね」
俺の横にタキオンは座り混みながら、さっきの話を掘り返してきた。
「てっきり、もっと怒鳴られて怒られるとおもったけれど」
「そりゃ呆れはしたよ。まさか、ここまで手続きに時間がかかるとはってね」
そんな風に真面目に答える俺を見て、タキオンは面白そうに笑っていた。
「なんか変なこと言ったか俺」
「いやね……大抵の人間は怒ってこれ以上するなって怒るところなんだけどね。君は言葉にはするけど、注意はしてないじゃないか」
正直、俺自身も手続きにここまで時間がかかるとは思ってなかった。けど、それだけでしか無かった。時間はかかったけど、結果として許可は取れたし 、大したことはしてないしな。
「自由にしろって言ったのは俺だし……その手前説教するのもおかしいだろ?俺にできるのはお前らが周りから怒られることをした時、それに問題が発生しないよう処理することくらいだ」
2人の行動は問題が多い。しかし、人を怪我させたり危ない目に合わせることは無い。大抵の事は謝罪と書類の山で解決することばかりだ。
「とことん君は私たちのトレーナーに向いているねぇ……」
タキオンはそう言いながら、羽織っていた服を置いて立ち上がった。
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