第6話:テイオーのフォームとデビュー戦
「なんだテイオー緊張してるのか?」
「しっしてないやい!」
テイオーは両手両足を同時に前に出しながらパドックに向かった。俺はタキオンとデジタルのいる観客席に向かった。
「まさか、タキオンも来るとは思ってなかったが」
「レースでのデータも重要さ。トレーニングとは違う環境、精神状態。そこから得る研究データは貴重なものだ」
なるほど、タキオンはテイオーのレースデータを取りにきたのか。レースの日程は教えていたが、応援に来いとは言ってなかったしな。
「それでデジタルは?」
「いえいえ!それは勿論テイオーさんの応援ですとも!形は歪であれどチームメイト!しかも、ウマ娘ちゃんを推さない訳には行きませんから!」
なるほど、一応応援という建前でウマ娘を見に来たということだ。
「お前もデビューすればあの顔を真横で見れるんだがな」
「わっ私がデビューしていいんですか!?」
テンパリながらも俺に質問してきた。そりゃ、いつかデビューはするだろうに大袈裟な。
「お前が芝を走りたいなら走れ。ダート走りたいなら走れ。一緒に走りたい娘と走りたいならそのレースに出ればいい」
俺が提示した自由というのはそういうものだ。自分の欲望のままにやりたいことをすればいい。
『全てのウマ娘がゲートインしました。新たなウマ娘が夢に向かって……今スタートしました!』
テイオーが取ったポジションは中段の先行。フォームもトレーニングどおりだ。スピードは以前ほど乗らないが体への負荷は落とした。
残り400mでテイオーが動いた。自慢の体の柔らかさを利用して、一気に加速していく。4,3,2,1と抜かしていきそのまま1着でゴールした。完勝……とはいえなかったが十分な勝利だ。
「あーあーいつも通り走れば、こんなギリギリじゃなくてぶっちぎりだったのにな〜」
テイオーはギリギリの勝利に不服なようだ。最初からテイオーステップで走っていれば余裕を残しての1着だろうからな。
「それでも、テイオーは耐えた。これから先もっと強くなっていくために」
テイオーが頷いた。テイオーは自分の今の強さを捨てても後に手に入る力のために頑張っている。
「データを取ったのもフォームを考えたのもダブルアグネスだ。そっちも褒めてやってくれ」
「ありがとう2人とも!」
テイオーのお礼にデジタルは昇天しタキオンは笑った。この2人がいればテイオーはもっと強くなれる。
テイオーを帝王にする基盤は整った……後はテイオーを鍛えて行くだけだ。
「いいか、皐月賞までのレース全部勝って。クラシック三冠取りに行くぞ!」
「「「おお!」」」
タキオンも声をあげてくれた、そういうキャラじゃないと思っていたが。割とノリは良い奴なのかもしれない。
それじゃあ一気にクラシックに殴り込みに行くか!
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