第7話:テイオー不満
デビュー戦を勝って、その後も何回かレースに出た。毎回ギリギリレースになったけど、何とか1着でゴールしてきた。
(それにしても、デビュー戦前にフォームを変えるって言われた時はビックリしたな〜)
どうやら、僕は体の作り的に今の走り方だと怪我をしてしまうらしい。今の走りじゃ前よりは速く走れないけど……トレーナー真面目で頑張ってるとこ見てると断れないし。何よりも怪我したら無敗の三冠取れないし。
でも、最近少しだけ気がかりなことがあるんだよね〜
「2人ってさ何だかんだ言ってトレーナーと仲良いよね」
僕は今日タキオンの研究所に珍しく顔を出していた。なんだか最近トレーナーが研究所に頻繁に出入りしているのがついつい気になっやって。いや、別にタキオンとかと仲良くするにはいいんだけど、僕のトレーニングとかに支障が出ると困るし。
「おやおや、それは嫉妬かい?私は彼とデータ交換のために必要だから会ってるに過ぎない……言わば協力関係というやつさ」
ふ〜ん協力関係ね。でもね、僕は分かっちゃうんだよね〜それが本当か嘘か。
「それで、実際のところどうなのデジたん」
「はえ、デジたん?テイオーしゃんにそんな……」
本当にトレーナーは凄い子見つけたなぁ……あだ名で呼んだだけで意識飛びかけちゃってるけど。
「どうなのデジたん」
「ひゃい!最近タキオンさんの体重がピーg増えてましたし……頻繁に会ってるのは多分トレーナーさんからお弁当を作って貰ってるからかと」
お弁当……手作りのお弁当ねぇ。なーにが協力関係だい!僕は部屋からそろりそろりと出ようとしてたタキオンを捕まえた。
「どういうことか説明して貰える?」
「それはだね……前にトレーナーに作って貰った料理が美味しくてだね……そう!トレーナー君が悪いのさ!」
そんなことをドヤ顔で言うタキオン。タキオンって天才って聞いたんだけどなぁ……
「それに、データ交換と言うのも本当さ。近々君も皐月賞が控えているだろう?」
そうだ皐月賞。クラシック三冠の第1戦がもう少しであるんだ。それも少し心配なんだよね。トレーナーは僕に事褒めてばかりだし。
「トレーナーは何も言わないけどさ実際どう思ってるんだろうな。クラシック三冠のことちゃんと考えてるのかな」
「ふっふっはっはっは」
僕がそう言うとタキオンさんが大笑いし始めた。あれ?僕なんかおかしなこと言ったかな。
「安心したまえ。彼以上に君の出走するレースについて考えてる者はいないだろう。別の選手のデータ収集に度重なる検証。綿密に組まれた君のトレーニング内容。君を勝たせるために彼が必死で考えているものだ」
ふっふーん。そこまで考えてくれるなら問題ないのかな?
「彼の卑屈さ故のスピードだね。彼は私たちを天才と呼び。天才の私たちの提案をすんなりと受け入れていく。君のフォーム改善も彼一人ではなし得なかったことだ」
言われてみればそうかもしれない。トレーナーは最初から僕の意見を尊重していた。僕が嫌と言ったら別の方法を試したり……それは僕が自分より優れてると思ってるからなんだ。
「デジたんも結構トレーナーと話してるよね」
「いや、その……話してたら色々意気投合してしまったというか……」
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