ハーメルン
White and white(PSYCHO-PASS)
45
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部屋のアラームが鳴り響く。
同時に可愛らしい白うさぎのアバターが現れた。
「「7月9日 土曜日!8時!今朝の狡噛舞白さんのサイコパス色相はホワイト!今日の予定は13時から公安局にて狡噛慎也さまと定期面会です!」」
元気な声と共にピョンピョンとホロアバターが舞白の周りを飛び回る。
どちらかと言うと普通のアラーム音より圧倒的に煩く、耳に響くアバターの声は苦手なのだが間違いなく起きることが出来るので重宝している。
そんな舞白はゆっくりと体を起こし、気怠そうに体を伸ばしベッドから脚を下ろす。
「「昨日の食事摂取量は合計2100kcal。朝食は250kcalが適正です!」」
「じゃあ…テイストはジャパニーズの230kcalで」
「「かしこまりました〜」」
キッチンのレンジらしき機械に自動的に朝食が用意される。その間に手際よく洗面を済ませた舞白はそれを手に取るとバルコニーへと足を運ぶ。
まぶしい太陽はすでに空高く昇っており真夏の気配さえ感じさせる雰囲気。バルコニーに置かれたテーブルに朝食を置き、まだ半分寝ぼけた体を起こそうと体全身に陽の光を浴びる。
「今日か……面会…」
ふと、ベランダからリビングに目線を移す。
棚に飾ってある舞白の中学校入学式の写真。そこには元気にピースをする舞白と隣で優しく微笑む兄の姿。
あの頃に戻りたい――なんて。頭に記憶が過ぎる。
優しい兄との幸せな日々。
両親はおらず、周りからは哀れみの目を向けられたことも何度もあった。
だけど幸せだった。兄がそばに居るだけで多幸感に包まれていた。
「――さてと。食べたらランニングして、早めにお昼食べてから向かおうかな。」
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「あーあ……俺も舞白ちゃんに会いたかった…」
狡噛の自室で文句を言う縢。残念ながら当直の彼は会うことは出来ず、
ちぇ〜っと口を尖らせる。
「またお前に会わせて悪い影響を与えるわけにいかないからな。」
「え!ひっど!!本当にコウちゃんは舞白ちゃんには甘々の兄貴だよな〜。心配しすぎ。お嫁に行く時どーすんの?」
「……まだ先の話だ。」
「わっかんないよ〜?シビュラに適性相手出されてサクッと結婚、なんてことも有り得るっしょ?――もしくはギノせんせ……」
「面会時間だ。ほら、お前はさっさと戻れ。」
狡噛は煙草を吸い終わるとソファから立ち上がり、ジャケットを羽織る。話をそらされた縢は更に口をとがらせつまらなさそうに体を動かす。
「つれねぇな〜………まあ、久しぶりに会えるんだし、舞白ちゃんによろしくね〜」
「はいよ」
2人は部屋の前で別れ狡噛は面会場所に向かう。約1ヶ月半ぶりに再会できることに内心喜んでいた。
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