ハーメルン
White and white(PSYCHO-PASS)
似た者同士
・・・・・・・
「いつも兄がお世話になってます」
先程声をかけてきた女性。公安局刑事課一係 監視官の常守朱。小柄で可愛らしい風貌、正に舞白が憧れているような見た目の女性。まさかこんな可愛らしい人が"あの"お兄ちゃんの上司だなんて……恐ろしいものだ。
「いえいえ、こちらこそ。いつも舞白さんのお兄さんにお世話になってます」
お互い深々と頭を下げ簡単に自己紹介を済ませる。
先程、近くのカフェでお茶でもしませんか?と声をかけられ、しかも自分の兄のの上司であると分かった。こんな嬉しいことは無いと"ぜひ"と承諾をした舞白。
2人は同じケーキセットを頼む。選んだケーキもドリンクも全く同じで
思わず笑ってしまった。
「…すみません、つい。頼むものが同じで笑っちゃいました」
「本当だよね?こんなに種類があるのに…」
不思議と互いに波長が合う。初対面だと言うの少し会話を交わしただけですぐに打ち解けることができた。
ケーキを半分ほど食べ進めた時、常守がふと口を開く。
「実は今日、お兄さんにお願いされて舞白さんをお茶に誘ったの」
「…兄に、ですか?」
不思議そうに常守に問いかける。常守はティーカップをテーブルに戻し優しく微笑んだ。
「私もね、シビュラシステムの職能適性、13省庁6公司全部A判定だったの」
「…私と同じ…」
へへへっと笑みを零し、恥ずかしそうに頬を掻く常守。
「データを見させてもらったんだけど……あ、ごめんね?勝手に。公安局A判定は舞白さんだけ、それも私と全く同じ状況でつい同じ境遇だから。」
「常守さんもそうだったんですね」
同じ境遇と聞いてなんだか嬉しくなる。そして誰にも分からないであろうこの境遇である気持ちも分かってくれるだろうと思った。
「全然!私はそんなに何かに長けてる訳じゃないんだけど…舞白さんは私より身体能力もすごいだろうし、何より色相も全く曇らない、凄いなって」
やはりあの狡噛の妹。
聞いていた話の通りすごい少女であるとここまでの彼女の様子を見て常守は心の中で考えていた。
「私は……兄のためにも公安局に入局したいなって考えてます」
「うん、そうなんだね?」
「なんて……そんなこと兄には言えませんけどね?――ダメでしょうか、そんな考えじゃ……」
「……」
「……きっとシビュラが私をそう判定したのには、なにか意味があるんじゃないのかなって。――"私にしかできないこと"とか…何かあるのかなって、つい考えちゃうんです。」
ティーカップを両手で包み込む。
俯きがちに本音を打ち明ける舞白。それを聞いた常守も真剣な顔付きで話す。
「正直、いいか悪いかは分からない。でも、…でもね?自分にしかできないこと、その人にしかできないことがもしあるって思うなら私はその選択は間違ってないと思う」
"まあ私も入局して数ヶ月でそんな大きな口叩けないけど"と呑気に笑いながら呟くと舞白と同じようにティーカップに触れる。
[9]前話
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:1/3
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク