ラストプロローグ 鎮守府を目指して
私は海を駆ける。
夕張・吹雪を中心とした
警戒陣と呼ばれる陣形。
先頭が私、その後ろと左右にイ級達、
その後ろに吹雪、夕張、一番後ろに
キューちゃんと言う陣形だ。
通信が終わった後、すぐに出発となった。
出発前に吹雪から
「夕張に合わせてくれ」と言われたが
「タービンを積んだから大丈夫」
だと言われた。
今は自分の速度を確かめながら、
時々後ろを見つつ海を進む。
既に近くに島がないところに来ていた。
私は暇になったので歌を歌う。
楽しくなる歌を選んだ。
体を動かしたくなる歌。
じっとしていられなくなる。
気づけば私は歌いながら体を動かす。
振り返るとみんなも楽しんでいた。
体を揺らすイ級達。
警戒しつつ楽しむ夕張。
警戒することを忘れて
完全に楽しむ吹雪。
誰よりも楽しむキューちゃん。
ランランと楽しそうに聞いている女性。
私たちは楽しく8隻で海を進む。
……私は急いで足と歌を止める。
すぐに後ろを振り返り、
いつの間にか増えている8人目を
目視する。
夕張達も急な制止に驚いた後、
私の見る方、後ろを向く。
そこにはノースリーブの女性。
黒い甲殻に身を包み、尻尾の様な艤装に
サイドテールの女性。
夕張はその女性のことを
「重巡ネ級」と呼んだ。
ようやく島が見えてきた。
まだ本土までは距離があるが、
小さな島が見える距離まで来た。
ここまで来られたのはいいのだが、
新たな問題が2つ増えた。
1つ目は先ほど会った重巡ネ級。
今のところ敵意はないようだが、
夕張曰くかなり強い存在らしい。
戦艦相手でも苦戦するほどだとか。
そんな存在が今、私の横にいる。
正確にはベッタリとくっついている。
進みずらい……。
キューちゃんと初めて会った時のように
ベッタリとくっついているのだ。
敵意がないことに安心はしているが、
提督にどう言おうか悩んでいる。
歌ったらネ級に懐かれたなんて
納得してくれるとは思えない。
ネ級が大人しくしてくれることを
祈るしかない。
そして、もう一つの問題が
私を挟んでネ級を威嚇している
キューちゃんだ。
ネ級が私にベッタリしていることで
居場所を取られたと勘違いしているのだ。
本当に犬だと勘違いしそうになる。
新しく来た犬に自分の居場所(主人)を
取られて威嚇している姿に酷似している。
ネ級はそんなこと気にしていないが、
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