生者を照らす陽光と嵐の加護
戦闘開始から10分。お互いに満身創痍、かたやHPバーの赤ゲージもない風前の灯火、かたや全身の飛膜が千切れ尻尾は断たれ象徴的な金の角は折られて加えて眼球を刃が掠め視力を失いつつあり、勝者が決まるまでほんの数刻もないのは明らかだった。
息も絶え絶えのアルトラスが止めの一撃の姿勢に入り、放つ。もはや浮遊する体力もない龍が力なく吠える。
「鬼人・螺旋空舞!」 集中力の欠如によりクリティカルを発生できず攻撃は弾かれたがダメージは入った。
数舜の時を経て空に光が溢れ晴れていく、嵐の化身の灯が切れた合図だ。
「ハァ・・ハァ・・ハァ・・・ハァァ、アマノスサノオ攻略完了、か」
【全プレイヤーに通達、ただいまカタストロフィモンスター アマノスサノオの初回攻略及び単騎攻略を確認しました。クエスト評価はS+です。】
「初回攻略だとアナウンス入るんだな、・・・ん、メールが二件どっちも運営か」
一件目はアナウンスと同じ内容。問題は二件目のメールだ。
「初見攻略得点として暴嵐龍装備・天禍シリーズ一式とアイテム 禍津風の勾玉を贈呈ねぇ」
詳細説明/ 攻撃防御+20・暴嵐龍意外のモンスターによる風圧効果無効・回避アクションの無敵時間を+0,1秒・全アクションに対する空気抵抗30%軽減
・・・・は?つよくないか、というか強すぎないか?効果付きアイテム=調合書みたいなもんだぞ?やりすぎじゃねぇのこれ?
うーん・・・うん。とりあえずやりたい事は出来たし、一旦集会所にいって落ちよう。これは夢だきっと。
「う・・・ん。朝日?しかたないな」
着替えて朝食を食べるべく自室を後にする。先の攻略で気疲れしたのか、妙に腹が減っている。
他はどうだか分からんが少なくとも俺は基本的に龍脈から直接エネルギーを摂取できるのでよほどの事がない限りは食事は嗜好品の域から出ないものだ。そんな俺が空腹なんてもう60年は感じていない久しぶりの感覚だった。
「この世界の龍脈は小まめに再接続せにゃならんのは面倒だけどあっちよりエネルギー効率がいいのが救いだな」空腹の原因は龍脈の接続が切れていただけだった。
昼、OOGAMIのゲーム部門入口前
「アマノスサノオの設計担当はどこだ!?」ドアを開けデカイ音を出しながら強めの口調で対象を探す。
「災様!?どうしてこちらに?なにかご不便がございましたか?」
「不便・・・逆だ。とにかくアマノスサノオの設計担当を出せ、話はそこからだ。
5分後、担当者がでてきた。
「狗竜、長話はしない。単刀直入に言うが禍津風の勾玉の効果を下降修正しろ。」
「あぁ、たしか今日の夜中に初回攻略されたんですよねたしか。ってなんで勾玉の事しってるんです?」
「アルトラスは我だ、もう一度人間の耳に良く聞こえるようゆっくりはっきり発言する故聞き漏らすな。禍津風の勾玉は効果が強力すぎる、下方修正するかアクセサリー枠に入れ替えろ、理解できたか?」
どうやら状況が理解できたようだ。証拠に冷や汗をかいている。
狗竜曰く、初回初見攻略した時だけ最大貢献プレイヤーに贈呈する予定だったらしく、それができるならこれ位テンコ盛り効果にしても問題無しだと思ったそうだ。
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