ハーメルン
百城千世子を生で見たい、なんなら喋りたいし触りたい
俺こそが覆水盆
「それもそうね、運転してる人、どうして?」
「一人辞退したんだ、最終まで残っていた一人が昨日突然ね。だからそのかわりに君に最終審査に出て欲しい」
告げられたのは知ってた言葉ではあったが、多少安堵した。もし俺がスターズに居た関係で何か原作が変わってたかもしれないから
「おねーちゃん! これで………!」
「うん、これで優勝して役者になれたらおねーちゃんのこともう怖くないよね」
「役者になれたらもう怖くない? 何の話だ?」
レイの夜凪の会話に疑問を持つアキラ君、さっき殺気を出していたとは思えない程普通の口調だった
「私の家の押入れの中には古い映画のビデオがいっぱいあって、まるで宝の山みたいで私は何度も何度も繰り返し見ていたの、子供の頃からね」
そして始まる夜凪の独白、それをアキラ君は何も言わずに聞いていた
「あなたも役者ならきっと同じでしょう? 悲しいことや辛いことがあるとつい違う自分になろうとして本当の自分を忘れてしまいそうになるでしょ」
これをついでやっていまうのが夜凪の恐ろしい所だ、それこそ俺の様な紛い物と違って純度100%の天然メソッド演技
読者としてではなくてこの世界の一俳優として見るとやはりとてつもない
「だから私たちみたいな人がなるんでしょう? 役者に」
「……………なぁ」
ずっと黙っていたアキラ君がこちらに顔を向けて喋りかけてくる
「言っておくが俺は何もしてないぞ、本当に偶然たまたま通ってた高校にメソッド演技が上手いクラスメイトが居ただけだ」
俺がスターズクビになったから同じ演技方覚えさせて試験受けさせて意趣返しとか思ってるんだろうか
「じゃあ君からみて夜凪さんはどう?」
「天才、だな。たぶん俺よりも」
今の実力で言うとまだ俺の方が上という自負はある。これでも演技歴は数年だ
だが才能という面で見たとき間違いなく俺よりは凄い
「そうか」
それ以降あまり夜凪一家以外で車内で会話が起きることもなく、スターズの試験会場に着いた
「あっ学校サボっちゃったね」
「あっ……電話しないと」
「やっべ俺も忘れてた」
そういやここにいるアキラ君を除いた全員学生だった
「それじゃあ学校の方に連絡してから7階に最終審査会場とかかれた紙が張ってる部屋があるからそこに行ってくれ。あとお前はここに残れ、ちょっと話がしたい」
アキラ君殺気隠せてませんよ、お願いの文と命令文が混ざってますよ
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