狂気の聖剣使い
聖剣計画。
嘗て教会で行われていた実験。神器を超えた伝説級の聖剣、魔剣には扱うための適性が必要であり、その計画では聖剣を扱える人間を人工的に生み出すために実験が行われた。
「他にも北欧と抗争した際の戦利品、グラムの適合者を作る実験もあったが、どちらもまともじゃねえ。死者は多く出た。聖剣計画に至っては、皆殺しだ」
「それって………!」
ライザー先生の言葉に嫌な予感を覚える。そして、それは直ぐにその口から告げられた。
「木場祐斗はその計画の生き残りだ」
「…………だから聖剣を見て」
「それも変な話だがな。結局の話、聖剣はただの道具だ。爪楊枝と相違あるまい」
聖剣と爪楊枝を同等に扱えるのは、この人が強すぎるからでは? 何かどっちで攻撃されても同じ程度の傷しか負わなそう。
「聖剣の使い手を憎むならともかく、聖剣を憎む理由が解らん。お前は包丁で家族が刺されたら世界中の包丁を壊すか?」
「えっと……想像はしたくないですけど、刺した奴を憎むと思います」
「だろうよ。道具なんざ使うやつが居なけりゃどんな名剣だろうとガラクタだ。ガラクタを憎んでなんになる………ましてや、写真見るまで忘れるような内容なのによ」
確かに木場は写真を見てから様子がおかしくなった。それはつまり、写真を見るまでは忘れていたということになる。
「前例がある以上、また時間が経ちゃ戻るだろ」
「でも、昔はあったんならまたこの街に聖剣が来るってことはないですかね?」
「そんな偶然…………あるかもな」
ライザー先生はどこか世界を小馬鹿にするように笑った。
「あの、話は変わるんですけど」
「あ?」
「部長の名についた傷って、なんとか消せませんか?」
俺はふと、どうしても気になったことを尋ねる。
超越者であるライザー先生に振られた女、として知れ渡った部長の汚名をなんとか返上できないか、この人に聞くのは間違っている気がするがそれでも頼れる知り合いの悪魔はこの人だけなのだ。
「消す方法ね。そうだな、お前が最上級悪魔になって娶れば、多少はマシになるだろ」
「なるほど、俺が最上級ににってめと……………めと…………娶るぅ!?」
は!? え!? な、なんでそんな話になるんだ!?
ま、まさかからかわれてるんじゃないだろうな?
「からかってねえよ。簡単な話、主人のために結婚式に乗り込むような眷属が成長し主人を娶るってのは、まぁまぁの美談だ。婚約破棄された令嬢から、少しはマシな扱いになるだろう」
「で、でも………俺と部長なんて」
「? お前等一緒に住んでんだろ? もうやることやってねえのか?」
「やややややや!? やってるわけ無いですよ恐れ多い! その、まあ………朝起きたらベッドに居たりしますけど。今の俺はおっぱいが揉めるだけで満足です!!」
『相棒ぉ…………』
「お前…………」
ドライグとライザー先生が心底呆れたというような声を出す。お、俺何かやっちゃいました?
「まあ今は胸を揉んだり突いたりしてりゃあ良いんじゃねえ。そのうち関係も発展するだろう」
「つつつ!? つつくって、おっぱいはスイッチじゃないんですよ!?」
「お前の基準はどんなふうになってんだ……」
ライザー先生は珍獣を見るような目で俺を見つめてくる。
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/4
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク