婚約者
「ライザー、そろそろリアス殿と婚約をしないかい?」
と、父親に言われたのがつい先程。正直に言ってしまえば気乗りしない。リアスの方も婚約には乗り気ではないようだし、このままズルズル先延ばしにしようと思っていたのだが。
「彼奴が大学出るまでは自由にしてやるって話では?」
「まあその………お前が眷属集めで放浪してたから、純血を尊ぶ一派が先に子をなせと催促を………」
「………………」
うわ、めっちゃ嫌そうと息子の顔を見て引くフェニックス家当主。
「あら、いいじゃない。作ってあげましょう? グレモリー家のご令嬢と言ったら、バアルの『滅び』を受け継いでいるのでしょう? 貴方の『不滅の炎』と『滅び』が合わさり生まれるかもしれない『滅びの炎』………興味があるわ」
クスクス笑いながら会話に入ってきたのはライザーが異世界でスカウトした兵士。駒2つを使ったので、単純に黒歌の倍の価値がある少女だ。
長い黒髪をゴシック調のリボンで纏め、ゴスロリドレスを着た純粋な悪意を感じさせる笑みを浮かべた美少女。兵士でありながら『炎の女王』の通り名を得るほどの使い手である。
「俺は興味ないね。大体数日の内に領域に侵入した堕天使、はぐれ悪魔祓いに3名も殺させておいてうち2名を悪魔として蘇らせたからと報告も一つしかしねえ頭お花畑との子なんて、将来が不安だっつーの」
「それは………ええと、ごめんなさい」
言葉もなかったのか素直に謝る眷属に、ライザーは虚空を見つめため息を吐く。
既に婚約者として周知されている今、解消となれば悪い噂の多いライザーがふられたと言う話になるだろう。それは別にいい。個人的には、だが。
貴族としては汚点となる。
理想としてはお偉い様方が集まった場所で、ライザーからリアス・グレモリーを振ったとキチンと伝わる状況が欲しい。
「お困りのようだね、ライザー君」
「そ、その声は!?」
「ふっ」
と、フェニックス卿が開けっ放しにしていた扉の縁によりかかり腕を組み片手の人差し指と中指を立てながらウィンクする紅色の髪をした男が………
「なにかしら、この茶番」
「超越者同士にしか解らない何かにゃん。アジュカ様もよくやる」
黒衣の眷属達は悪魔を超越した力を持つ者達の謎のやり取りを呆れた顔で見ていた。
俺は兵藤一誠! リアス・グレモリー様の眷属悪魔だ!
俺の主の部長はすっげえ悪魔なんだけど、なんか様子がおかしいんだ。昨日もその………突然抱いてくれって。部長らしくなかった。何かあったのかな?
そんなことを考えながら眷属仲間で同じ部員の木場が不意に止まる。部室の扉も開けずにどうしたんだ?
「……僕がここまで来て初めて気配に気づくなんてね」
何だ、何事?
気にせず扉を開くと、何時ものメンツに混じって昨晩部長の夜這いを止めた銀髪のメイドさん、グレイフィアさんがいた。
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