ハーメルン
PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White
兄と妹
日が沈み、辺りは真っ暗に。
さすがに暗いうちに行動するのは危険すぎる為
今夜は全員、岩場で過ごすことに。
幸いにも、男達が残していった大型車両に燃料や飲食物が乗せられており安心して過ごすことができそうだった。
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「…そんな事があったんだ…」
舞白とテンジン以外が眠る中
2人は岩場の入口付近で語っていた。
そこでテンジンの口から語られたのは
ほんの数ヶ月前のチベットヒマラヤ同盟王国での出来事。
兄は今、指名手配されているとか…
しかし、舞白は悲しむことはなくむしろ情報が聞けて内心喜んでいた。
「でも、狡噛は絶対そんな事しないし
むしろ濡れ衣を着せられてる」
「…停戦監視団の暗殺、
暗殺なんてそんな性にあわないこと絶対私の兄はしない
…まあ、悪役を引き受けないといけない理由があったんだろうなぁ」
意外と呑気な舞白にテンジンは驚いていた。
普通、家族が指名手配されていると聞けばもっと動揺するはずなのに、と
「とりあえず生きてるなら花丸
連絡手段なんてないし、正直心配してたから」
「……やっぱりあなた達、兄妹なのね
見た目もだけど…考えてることもすごく似てる…」
くすくすと笑みを浮かべる舞白。
余裕そうな雰囲気はやはり狡噛と瓜二つだった。
「ところでテンジン、
…今回みたいな誘拐って
最近増えてたりするの?」
地域の境目とはいえ大胆なことをした男達。
車両の中から舞白が追っている攒に、関連してそうな資料を見つけたため
恐らく彼らは攒に関係しているのは間違いない。
ウイグル地区のみならず他の地域にも手を伸ばしているのであれば、
早急に解決しないとならない。
「ううん、誘拐とかそういった事は聞いてなくて
…ただ境界線付近で怪しい車両の目撃情報とかそういったのは増えてたかも」
「暴動と、なにか関係があるかもね
…早急になんとかしないと…」
「なんとかって…あなた一人で
危険なところに行くつもりなの?」
「そうだけど?
…って…私も行く!ってわけにはいかないよ?
明日早朝にすぐに同盟国の境界まで皆を送り届けるから
運良く車も手に入ったし…」
狡噛の妹となればついて行くと言っても聞かないだろう、と分かりきっていた。
テンジンはそれ以上何も言わず岩場の隙間から空を見上げる。
「狡噛の妹…何か羨ましい…」
「へ?何か言った?」
テンジンの呟きは聞こえず
笑って誤魔化す。
確かに、狡噛は妹がいると話していたが
ここまで強いとは知らなかった。
互いを真剣に大切に思い合っている2人を
テンジンは羨ましく思っていた。
「明日早く出るつもりだから少しでも寝た方がいいよ?
私は見張ってるし、何かあれば起こすから」
舞白はサッと上着を羽織れば、小銃片手に岩場から姿を消す。
テンジンは大人しく仲間たちと同じように
体を休める。
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