ハーメルン
PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White
面影
・・・・・・・・・・
「お願いだ……どうか命は……命だけでも…」
げっそりとやせ細った老人が地面に跪き、
松明を手に持った集団に頭を何度も下げる。
他にも赤ん坊を抱えた女性や、少年少女、
10数名の人間達が鎖で繋がれていた。
その老人が話していた言語は片言の中国語、
テソン達は仲間内ではウイグル語を使用していたが
おそらく彼らは収容所内で何年も過ごし
ウイグル語を手放している。
昔から根強よく残るウイグル人への迫害は、まだ続いているようだった
舞白はそっと建物の物陰から様子を伺う。
攒と思われる集団、全員がマスクを被り
目元しか確認は出来ないが
武装した風貌を見る限り、間違いない
体格からして全員男、ガタイの良い大男ばかりだった。
「あ……ぁぅ……いの、ち、……
……この……こ、の……あぁ……うあ!」
赤ん坊を抱えた母親らしき女性。
まともに言葉を話すことが出来ておらず、
口をパクパクとさせながら、男たちに何かを訴えていた。
「殺せ」
中でも飛び抜けて背の高い男、
確かにそう呟けば、一瞬で女性は頭を撃ち抜かれ
赤ん坊を抱きしめたまま、雪の積もる地面に崩れ落ちる。
そのまま布に包まれているであろう赤ん坊も
撃ち殺されれば舞白は思わず口を塞ぐ。
「…………ッ……酷い……」
助けに出たい衝動をなんとか抑える。
男たちの数は確認できるだけでも10人以上
足場も悪く、松明だけで照らされたこの場所で
1人で立ち向かうには無謀すぎる状況だった。
「……ッ……お願いします、
何でもするから……助けて……
せめて妹だけでも……お願いします……」
おそらく歳は10程だろうか
1人の少年がビクビクと怯えながらも
傍らで、ぼんやりと座り込む幼い妹の手を握りしめ
男達に訴えかける。
「……いいだろう」
リーダー格らしき男がそう呟けば
懐からナイフを取り出し、少年の足元に投げ捨てる。
「何でもするんだろう?
…選択肢をやろう
妹の首を切り落としてお前が生き残るか……
お前が自害して妹の命を救うか……」
「へ…………」
「何でもすると言っただろう?
お前の命か妹の命、どちらかを保証してやろう」
残酷な選択肢に少年の表情が更に恐怖へと陥る。
妹も先程の母親のように何かブツブツと呟きながら
目が虚ろになっていた。
兄と妹、なんとなく舞白は自分と狡噛を重ね合わせる
そして銃を握る手の力が更に強まっていた。
「どうした少年?せっかく与えた選択肢だ
……首はこの辺りを引くように一気に差し込めば
確実に死ぬ………
太い血管がこの辺りにあってな?
ただ……かなり苦しむだろうなあ、痛いだろうなぁ……」
ケラケラと笑いながら少年に近づき、
首を厭らしく指でなぞると、周りの男たちも笑い出す。
ナイフを両手で握り呼吸を荒くする少年。。
横目で妹を見るも、なかなか決心がつかないようだった。
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