ハーメルン
PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White
臆病な強面




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4年前、突然店に現れたガラの悪い男たち。

奴らは、何も注文せず
ただただ店内を荒らしていった。
そしてこう言ったんだ。
"この店に美しい黒髪の女と、その娘が出入りしている"

知らないか?店主 と、
まだ線の細かった俺は逆らうことも戦うことも出来ず、
2階で生活していた妻のアジャティ、娘のアイをいとも簡単に引きずり下ろし誘拐して行った。

追いかけようとしたが、俺の仲間たちに止められた。
"お前が追いかければ、俺たちの家族も危険だ
……我慢だ、諦めろ、運が悪かった"と。

今でも、あの時の妻と娘の叫び声が頭から離れない。
夢にも現れる、
あの時何も出来なかった俺を呪うように
毎日のように現れるんだ。





ここら一帯、ウイグル地区は昔から
少数民族を捕らえるために、複数の収容所が建てられていた。

勿論、全て稼働はしておらず、
時代の流れと共に殆どが廃棄されるか、老朽化で自然に壊れていくか、
大体がそのどちらかだった。


しかし、1番大きい収容所と言われていた場所では
まだその名残があった。

そこに女や子供、老人、男
老若男女関係なく無差別に連れていけば何をされているか分からない。
ただ、そこから生きて帰ってきたものは稀、
脱走してきたであろう人間も、見たことはあるがとてもじゃないが悲惨な姿だった。

片目はくり抜かれ、男か女なのか分からないほど体はボロボロ。
生殖器さえ残っていない、それでも命からがら、あの場所から逃げたい一心で、数百kmも離れたこの地域まで体を張って逃げてきたその人間は
誰にも助けられないまま、鴉のエサになり、
数日も経てば腐り、蛆虫が分解し、自然へと還っていった。

しかし、しっかりと目に焼き付いていたのはあの刻印。
腐敗する前に、その人間の首元に焼印があるのをしっかり見ていた。


攒の文字に巻き付く鎖を



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「奴らの組織の名前は攒(サン)
ありったけ人間を集めて、何やら怪しい商売をしてるとか
…もしくはただの頭のネジが外れた異常者、変態の集まり
奇妙な刻印を打ち付けて、たとえ逃げられたとしても
一生その刻印に縛られる
…………それが、舞白が持ってた写真の刻印
運良くその友達は逃げられたんだな」

1階のバーカウンターで2人は肩を並べていた。
舞白は悲惨な話しを耳に入れると眉を顰める。


「……あの写真は奥さんと娘さん……」

「そうだ、俺は別人のようだろう?
…もう意味は無いのにひたすら体を鍛え続けた
だからこんな見た目だけど本当は臆病で
お前みたいに屈強な相手に立ち向かう根性さえ持ち合わせてないさ」

ガクガクと震えるテソンの手。


「未だに……アイツらを見ると体が震える
こんなに体を鍛えても、妻と娘を助けたいと思うだけで
体は動かない
…この見た目のおかげでアイツらに連れ去られるようなことはないが

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