ハーメルン
デジモンアドベンチャー エクストリーム~6色の新たなる選ばれし者達の冒険~
明るい鳥の心に秘められし真の心と静かなる少年の心に宿る慈しみの心
「それでね…………」
「へぇ、そうなのか…………」
「そうなのよ! その時にね…………」
「…………」
思いがけぬ空との出会いを果たした錦はどうしていいか分からず、口数が少なくなっていた。
それをみかねたムーチョモンが、空とピヨモンを招き入れて空達の旅を聞かせてほしいと提案した。空とピヨモンはそれを快諾し懐かしそうに話し始めた。
しかし、空とピヨモンは嬉しそうに話しているのを見た錦も最初の内は話の輪に入れていたが、ムーチョモンの相槌の勢いに押されてしまい、また話せなくなってしまった。3人(1人と2匹)は楽しそうに会話しているのを錦は軽く微笑しながらフウッと部屋の様子を見渡していた。すると、錦の目線は一つの写真立てで止まった。
その写真には、一人の男の子とムーチョモンが笑いながら映っていた。そして、その男の子の手には薄紅色に輝くデジヴァイスが光っていた。
「アッ……」
ムーチョモンが錦の目線に気付き、慌ててその写真立てを手(翼?)にとって戸棚の中へと仕舞った。
「? さっきの写真って……」
「あ、あぁ。アレは前に人間の子どもが来てな。それで記念にっつうんで撮った奴なんだ。それで出会えた記念にって俺にもくれてな……全く、困ったもんだぜ…………」
「へぇ、そうなの……」
空の問い掛けにムーチョモンは少し早口になりながら答えた。空は何の疑問も持たずに頷いていた。しかし、錦はムーチョモンの話し方に疑問を抱いた。
錦は話を聞くのが得意な為か、自然と相手の口調で相手がどんな感情で話しているかが大まかにだが、分かるようになっていた。そして、ムーチョモンの話し方を聞いていた錦は一つの結論に達した。
「(もしかして、あの男の子は……ムーチョモンのパートナーだったんじゃ…………?)」
「それじゃあ……私達はそろそろお暇(いとま)させてもらおうかしら…………錦君。良かったら、一緒に行かない?」
「え、あ……はい」
錦が考え事をしていると、空は立ち上がって錦に声を掛けた。錦は考え事をしてたせいで少し戸惑いのある返し方になっていた。
「…………あの、ムーチョモン?」
「……なんだい?」
そして、いざムーチョモンと別れようと言うときに錦は意を決してムーチョモンに話し掛けた。ムーチョモンは首を少しかしげて訊ねた。錦は少しの間無言になっていたが……真っ直ぐムーチョモンの目を見て問い掛けた。
「あの写真に写ってたのって……ムーチョモンのパートナーなんじゃない?」
「なっ……!?」
「「えっ!?」」
錦の予想外の問い掛けに空とピヨモンは驚き戸惑っていたが……一番驚いていたのはムーチョモンだった。目を見開き、口(嘴)は開いたまま硬直していた。
「だって、写真に写ってたムーチョモンも男の子も……笑ってた。少し迷惑に思ってたのなら、あんな笑顔になれないし…………さっきのムーチョモンの言葉もあの写真について詳しく突っ込まれたくないって思いが伝わってきた。もし、良かったら……彼のことを教えてほしいんだ」
「…………っ!!」
錦は目線を下に落としてポツポツと自分の感じとった違和感を話し、再び目線をムーチョモンに向けて、教えてくれと頼んだ。ムーチョモンは目線を右下側に逸らして体を震わせていた。そして、フッと両手(翼)を下に垂らして錦の方に顔を向けた。
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