ハーメルン
クトトリア広場の笛吹き男
3話:めんどーごとはあとまわし

「なーんだアルゥの能力を継承した魔導士だったのね。先ほどはごめんなさい、無視なんてしてしまって」

「わたしもごめーん。この通りー」

席から立ち深々と頭を下げるイヴォンと、テーブルに突っ伏して謝罪するエクリル。そんな二人の個性的な謝罪に気にしないで、と答えるのは魔導士リナ・アーリン。そして今、アルゥを含む3人はリナの家でくつろいでいた。
リナの家は外観こそレンガ造りだが、内側の壁や家具はすべて木で作られている。リナは数年前までアルゥと共に世界を旅していたが、魔導士となってからはこのアトリア宗教国に居を構えることにしたのだ。

人間は魔法を使えない。しかし魔導士と呼ばれる一部の人々は精霊と修行を共にすることで、精霊から認められ魔法を使える様になる。かつてこの世界には4つの属性、即ち火・水・風・土の魔法をすべて会得した魔導士がいるという伝承があるが真相は定かではない。

「しかしアルゥが人間を認めるとはねぇ」

「意外かもー」

「別に私は大人だし、寛容?だからね」

なんでそこで疑問形なのよ、とアルゥはリナから突っ込まれる。おおかた"寛容"の意味を理解せずに使っているのだろう。
魔導士リナ・アーリンはかつて世界を旅している際、土の精霊アルゥと出会い共に旅をし、最後にはアルゥから認められ土属性の魔法を授かった。だからだろうかアルゥの性格、扱い方はおおかた分かっているつもりだ。

「ところでリナちゃんは何のお仕事してるの?」

「国家魔導士よ」

ドヤァと胸を張るリナに対する精霊たちの反応は意外にも素直で、凄い!やカッコいい!といった言葉が飛んでくる。精霊という存在の性格上、茶化されると思っていたリナは素直に賞賛されたため恥ずかしくなってしまった。
魔法を使う人間、即ち魔導士は貴重な人材だ。しかしそれ故に人々から恐れられ、国によっては魔導士の入国を許可していないところもある。そんな中アトリア宗教国は宗教国と宣言していることもあり、精霊や魔導士に対して寛容的な国柄であった。

 *

国家魔導士リナ・アーリンの家に滞在し始めてから1週間が経過した頃。
ついにリナが痺れを切らした。

「貴女たちいつまで遊んでるの!火の精霊クレルトを助ける為に、この国に来たんじゃないの?」

「えっ?あぁそう言えばそうだったような?」と本から顔を上げるイヴォン。

「そんなこともあったねぇー」と日向ぼっこ中のエクリル。

「んー?そんな焦ることじゃないし」と観葉植物に水をあげるアルゥ。

"精霊はやりたいことをやる"。それはリナが旅をしている時、アルゥから教えられていたことだ。しかしまさか仲間が誘拐されている状況にありながら、なおマイペースな精霊たちの態度には驚きと怒りを隠せない。
故にここは1つ躾が必要だ。こんなやつらに挙げる飴など1個もない。鞭と飴ならぬ、鞭と鞭によるリナ・アーリンの奮闘が始まろうとしていた。

 *

「ルールは簡単。先に敗北宣言した方が負けよ」

場所は変わってアトリア宗教国にある闘技場。魔導士たちの訓練用の闘技場に魔導士リナ・アーリン、そして風の精霊イヴォンと水の精霊エクリル、最後に土の精霊アルゥが立っていた。精霊3人の怠慢にキレたリナ・アーリンが半ば強制的に連れ出したのだ。

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