ハーメルン
【求ム】貞操逆転世界の婚活ヒトオスVTuber【清楚系】
三次元では抜けない女 そのに

 リアル殿方ではおシコり申し上げられない。

 朱雀院華燐(わたくし)がこうなったことに、大層な理由は御座いませんでした。
 勿論それは、お母様の赤ちゃんお部屋在住の頃から時既に手遅れでしたわ~、的な意味ではなく。唐突に回想で語られる悲しき過去やトラウマといった、昨今の闇堕ち系によくある複雑なお事情とかそういうのは特に何もなかった、ということ。
 とはいえ環境がわたくしをその様にした、と言われれば否定も出来ませんが。

 わたくしは朱雀院家という、大勢とは言わずとも身近に男性が居て当たり前の環境で生まれ育った。
 財閥を始め、有力者の多くは男性支援事業を手掛けており──つまり一族の者は率先して『私達は守護るべき男性を襲ったりなんてしませんよ~。ほんとホント。これが嘘ついてる目に見えるの? あ、おっぱいに埋まってて見えないや。でもおっぱいはセクハラじゃありませ~ん。ヒトオスくんがちっちゃいせいだからしょうがないよね~?』という範を示す立場にあり、理性を鍛えて本能をステイさせるためにも幼少期から免疫を付けるという目的があるわけです。
 そもそも男性がSSRではない環境に身を置けば子作り射幸心を煽られることはなく、上に立つ者としての余裕が生まれるというもの。
 ブランドと同じで、そういった信用安心の積み重ねあってこそ、警戒されることなく男性を雇用出来るというわけですわね。

 だからわたくしは、決して男性という存在そのものに不満があるわけではなくて、

「あれ、でも配信で言ってたどちゃくそえっちな殿方とかいうのは? あ、お惣菜じゃなくて主食とかそういう……」

「それがどこにもいらっしゃらねーから二次元の闇に堕ちたんですわよ! お分かりになって!?」

 朱雀院華燐はシチュエーション過激派でしてよ。 





 そんなわたくしでも、三次元の殿方に夢や希望を抱いていた時期は勿論ありました。
 当時のわたくしにとってラブコメ漫画は教科書で、愛と勇気を教えてくれる恩師は画面の中の存在だった。
 
 子供の頃──大きくなった自分はわたくしのことが大好きで仕方がない旦那様と毎晩運動会でどちゃくそに騎馬戦をしているものだと思っていた。クローゼットの中には時間停止装置や催眠アプリを授けてくれるドスケベロボットが隠れていて、オタクに優しいえっちなお兄さんは本当に居るのだと信じていた。

 しかし現実は違った。
 初めて見た若いオスの使用人。彼らは一様に高慢で、オタクを得体の知れない生き物と思っていた。最初はまあ、趣味嗜好は人それぞれですからと思ったものの。でも使用人の分際で「それリアルでやればよくない?」「ゲームでやる意味が分からない」はマジで許しませんことよ。我朱雀院華燐ですわぞ? いくら殿方が希少とはいえ、所詮は多数の内のひとりふたりでしかないモブに(おもね)るほど飢えてませんことよ? 何せ我、選り取り見取りなえりーとお嬢様ですので。

 ……とか逆張りしていたら、その多数が皆様こんな感じでしたわ~!
 えっ、殿方ってもっと爽やかでスイートなアニメ声で喋るんじゃねーんですの? 風が吹いたら服が脱げ、汗を散らせば花弁が舞い、決めポーズで世界は光に満ちるんじゃありませんの!? これが標準のリアル殿方……? お、おビームは? 目からおビームも出せないんですの~!?

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