ハーメルン
念願叶って潰れそうで潰れない喫茶店を開いたらなんか百合ラブコメの舞台にされたんだが?
迎田茜という少女
向風学園所属、二年生。
迎田茜。
彼女は現在、学園の中でもエリート中のエリートしか入れない事になっている『プライド』学科に在籍している。
そこでは主に『アンノウン』との戦闘訓練の他、普通の傭兵としての戦闘訓練も行われている。
傭兵と言っても行うのはあくまで保安を目的とする事が多い。
なのでボディガードという表現する方が妥当かもしれない。
そんな彼女、迎田茜は『プライド』学科からかなり浮いている。
あまり笑わず口数も少ない彼女は、友達が誰一人としていなかった。
……戦士を育成する組織とはいえ、所属しているのはみなティーンエイジャーの女の子達。
彼女達も年頃の女の子のように話す事は大好きだし、そして空気を読まず黙ってばかりいる奴に気を掛けたりするほど暇ではなかった。
彼女も彼女で独りぼっちでいる事には慣れっこだったので、だからいつも教室で一人きりになっている状態を甘んじている。
成績はトップクラスなのがまた問題の種として教師達は頭を悩ませている。
もっと協調性を持ってもらいたい。
だけどそれを押し付けて成績を落とさせてしまう訳には……みたいな感じらしい。
「……ふーん?」
俺はラプラスのフィールドワークによって集められた情報に目を通し、深く頷いた。
ちなみにラプラスはご褒美としてアプリコットジャムとバターとホイップクリームがたっぷり乗ったパンケーキを食べに行っている。
当然、人間に扮してだが。
そして俺は一人寂しく自室にこもって彼女の情報を改めて整理する。
迎田茜。
17歳、女。
向風学園の秘蔵っ子にして秘匿された女の子。
……どうやら人為的に天才を創り出すプロジェクト、『アーカーシャ』計画に参加した女の子の一人らしい。
ちなみにそのプロジェクトはとあるヒーローが介入する事によってなかった事になったのだが。
だけど、既に行われていた実験に関してはノータッチというか手の施しようがなかった。
その一人が、彼女だった訳だ。
「うーん、という事は彼女に関しては俺の責任でもあるの、か?」
何とも言えない。
彼女が俺に見せたあの笑顔、作り笑いには見えなかったけど、だけど学園では一切笑わない子らしい。
どっちが本物なのだろう。
学園で笑わない理由と、俺の前で笑った理由。
どちらも分からない。
分かるのは、彼女にもいろいろと事情があると言う事。
……それを探ったりするほど、俺は彼女と仲良くなった訳じゃない。
「んー……」
兎に角、現状は彼女にはアルバイトとして働いてもらう事になっている。
現在、日曜日の朝10時。
彼女は1時ころやって来る。
本来ならば最初は3時間の勤務時間でやってもらうつもりだったが、彼女はいきなり7時間働きたいとの事なので、とりあえずは6時間働いて貰う事になった。
まあ、そもそもとして人がまず来ない喫茶店なのでぶっちゃけゲームとかで遊んで貰っていても構わない訳だが。
「おはようございます、店長!」
からんからん、と扉が元気よく開かれて満面の笑顔を浮かべた迎田茜ちゃんが姿を現す。
俺は「おう、元気だな」と挨拶をし、着替え室の方を指差す。
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