トゥインクルフェムトジーヴァ
「白い光が綺羅星のように舞い散る、約束の場所でまた逢いましょう」
それが最後だった。
あれを、太古の昔より進化を重ねてきた一個の生物と捉えた場合、あそこまで破壊力を持たなければいけなかった理由が、今の所、思い浮かばないんです。
何が目的で...。
〜とある編纂者の発言より引用
大いなる意志は生態系に恒常性を与えた。
赤い月に雲が差しかかる。世界の均衡を望む。
あの日見た景色に手を伸ばし続けて、一心不乱に時空の狭間を渡る。
史実を違える世界を股にかけた。
白い光が綺羅星のように舞う約束の場所を求めて。
これは、ある者には悪夢と呼ばれ、ある者には悪魔と呼ばれた男の物語。
クロスオーバー。
〜雪山
山の超常を真下から突き破って出現したのは、巨神の白い頭部だった。
繭から羽化した蝶のように、久々の外気を目一杯吸い込んだ。
頑丈な甲殻に守られた眼がギロリと回って、獄炎を纏う炎王龍と青白い雷を纏う幻獣を捕捉した。
ショベル状に発達した巨大な顎は地面を掘削するために発達したものか。
異形の頭が「カパァッ」と音を立てて口を開いたかと思うと、無機質な青白い閃光が地上と天空の全てを明るく照らした。
そして次の瞬間、異形の怪物は天に霙のブレスを吐き出して暗雲を吹き飛ばした。
眩しい晴天が顔を覗かせたと思うと、今度は息が凍るような大規模のブリザードが発生。
炎王龍に灼かれていた地盤が急激に冷え固まり、遂には二頭の古龍種の影響が完全に打ち消されてしまった。
山頂から頭部だけを露わにした巨神は、首を傾げて舐め回すように地上を観察した。
咆哮をあげて威嚇する炎王龍。
嘶きと共に雷光を纏う幻獣。
蜘蛛の子を散らすように逃げていく人間たち。
目覚めたばかりの白き神の剥き出しの頭部に幻獣の稲妻が直撃するがダメージを受けるどころか刺激を受けた様子もなく、ノーリアクションのまま地上を見下ろしている。
続いて炎王龍が山を破壊する勢いで大規模の粉塵爆発を起こすと、巨神は漸く悲鳴をあげた。
その咆哮の音量は轟竜を軽く上回り、まるで咆哮そのものが粉塵爆発に匹敵する大規模の爆撃波であるかのように地形を粉砕した。
炎王龍の粉塵爆発によって壊れた山の中から、信じられないほど巨大な怪物が巨大な体を捩って這い出てくる。
崩竜ウカムルバス。
冰龍の活動によって、長い間氷に閉ざされていた最強最大の飛竜種。
要塞から山脈まであらゆる障害物を容易く破壊する絶大なパワーを誇る伝説の怪物。
常に異常な圧迫感を放ち、口から放つ「氷息」と呼ばれるブレスは万物を凍てつかせる絶対零度の巨大災害である。
山を打ち壊して出現した最強の飛竜種は幻獣と炎王龍を外敵と認識して威嚇のために大咆哮を放った。広範囲を壊し尽くす巨神の咆哮は遠く離れた人々が耳を塞ぐほどの圧巻の音量で鳴り響き、古の龍さえも震撼させた。
威嚇を終えて地面に尾を打ち付けると大気が震えて地震が発生し、悠久の時を生きる古龍でさえ体感したことのないような覇気を放った。
溶岩すら凍りつくような猛吹雪の中、炎王龍は燦々と輝く太陽のような獄炎を見に纏う。
あまりの温度に炎王龍の周りでは雪が溶けてすぐに蒸発し、炎王龍の姿は煙に包まれた。
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