ハーメルン
とあるオタク女の受難(ジョジョの奇妙な冒険編)。
第18話

◇月×日

アタシもジョセフたちのように〈レヴィー・ブレイク〉を鍛えることにした。が、どう鍛えれば良いのか、まったく分からない。

『キャラクター』の能力を借りる、言ってしまえばそれしか出来ない。もしくはそれ以外の能力をアタシが使えていない可能性もある。

うんともすんとも言わない本を持ち上げ、アタシの身体に『キャラクター』のパワーを与えるのではなく、真っ正面にパワーを運ぶイメージをする。触れる、当てる、与える、どれでもいい。

一度でも使えれば直感で分かる。

お祖母ちゃんのように他人へパワーを与える。

それが出来れば「柱の男」たちとの戦いで怪我する確率も下がるだろうし、誰も死なずにジョセフたちへの助力も出来るかもしれない。

アタシは一粒の希望的な可能性にすがり付き、より精確に〈レヴィー・ブレイク〉を使えるよう、ゆっくりながらも能力を引き出す。

◇月〒日

早朝、ジョセフとロギンズの修業へ混ざって彼らの怪我や傷を癒やす。アタシの〈レヴィー・ブレイク〉は直接触らないと効果がない。

これは検証済みだ。

それに付け加えて、他人への能力は持続させても精々10メートルそこらで効果は消える。つまり、その10メートルという範囲に居ればアタシの能力で即座に治療もパワーアップも可能となる。

だが、その場合のデメリットはアタシだ。まともに戦えない、浮遊や超パワーを使えても「柱の男」には効果は薄い。

アタシの話に納得するジョセフ、超パワーその物を放てないのかと言うロギンズ先生、確かにパワーだけを使ったことはない。

ジョセフたちへの差し入れを詰めたバゲットから〈レヴィー・ブレイク〉を取り出し、ジョセフやロギンズのゴツい拳をイメージした瞬間、轟音とともに鉄格子がひしゃげた。

いま、すごい速い何かが出たのは確かだ。ジョセフもロギンズ先生も驚き、ひしゃげた鉄格子を見ている。これなら、これならアタシも戦える。

そう伝えると小声で痛くなかった仕返しが痛くなると呟いていた。お前は、もう本当になんでそうなんだ。アタシの感動を返せよ。

◇月⊃日

シーザーとメッシーナの修業はジョセフよりも過酷な水中での戦闘だった。如何に波紋の伝導率は高くとも呼吸を出来なければ意味がない。

その危険な状況下で、どう対処するかを考える修業だとメッシーナ先生が教えてくれた。ジョセフもしているらしいが矯正マスクを着けていることもあって、かなり苦戦しているそうだ。

アタシも頑張ろう、そう呟きながら、シーザーとメッシーナ先生にお弁当の入ったバゲットを手渡し、アタシも〈レヴィー・ブレイク〉のパワーアップを試みると言い残して修業場を離れる。

しかし、シーザーが気取ることも忘れて熱中しているのは意外だ。ジョセフも限界を越えるため過酷な修業へ自ら飛び込んでいる。

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