第12話 革命の日
佐藤はいくつものバッグを抱えながら、拠点の倉庫に帰ってきた。その後ろには怜、針間、丸井が続き、彼らも佐藤同様にいくつものバッグをかついでいる。
「いやー、今回の取引はとても良かったよ。唯一足りてなかった爆発物だけで取引をまとめられたからね」
佐藤は抱えていたバッグを床に下ろした。後ろに続いていた三人も佐藤が下ろしたバッグの近くに、自分たちの持っていたバッグを下ろす。
「よく言うぜ。爆発物を用意できなかったら他のブローカーを優先して取引相手に選ぶって、半ば脅迫してたくせに」
「ほんと、最初取引してた頃と立場が逆転したよな。今じゃこっちが選ぶ側だ」
佐藤がそれぞれのバッグを開けているなかで、怜が佐藤の言葉に反応し、針間が会話に加わる。
佐藤がヴィラン連合と会ってから一週間が経過していた。その間、佐藤とリベンジエッジは以前と同じように取引をやり続け、物資をそこら中のブローカーから集めていた。
佐藤は種類ごとに分けられたバッグの爆発物を、用意していた他のバッグに振り分ける。
「そろそろ始めようと思うんだけど、どう?」
「始めるって、何をですか?」
「ヒーローをこの国から消す計画を、だよ」
丸井の言葉に対し、佐藤は振り分ける手を止めず答えた。周囲にいた面々に緊張が走る。彼らは佐藤からヒーローを消すための計画がどういう計画なのか、一切知らされていない。故に、どんなことをするのか、不安と好奇心が渦巻いている。
「じゃあ、携帯を渡したヴィランを呼び寄せよう。明日までに全員」
「全国各地に散らばってるから、明日までにこれない奴がいるかもしれねえぜ?」
「それは仕方ないよ。間に合ったヴィランだけでやろう」
佐藤は事務室に行き、猿石からヴィランに渡した携帯番号の一覧表を貰うと、それを四等分にして怜、針間、丸井に渡した。
三人は佐藤から一覧表を貰うと、上から順番に電話をかけて集合するよう伝えていった。佐藤も同様に電話をかけていく。電話をかけた番号は赤ペンで印を付けた。四等分したといっても一人当たり約八十人いるため、そこそこ時間がかかった。
佐藤は電話のノルマが終わったら、大きなバッグを背負い、倉庫の外へ向かう。
「佐藤さん、どこに行くんだ?」
「ちょっと下準備をやりにね」
「俺も一緒に行くよ」
「大丈夫だよ、怜君。明日から忙しくなるから、今日はゆっくり休んでくれ」
佐藤が外に出ていく後ろ姿を見て腰を浮かしていた怜が、佐藤の言葉に渋々ながら従い、腰を再び下ろした。
佐藤は真っ暗闇の中、笑みを浮かべた。
背負っていたバッグの中身は空になり、今の佐藤は隠し持っている拳銃とサバイバルナイフ以外武器が無い。
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