第3話 リベンジエッジ
「本当にこれだけのモンをまた集めたのですか?」
明らかにカタギではない、黒服を着た男がソファに座り、紙製のリストと目の前のアイスボックスを交互に見ている。アイスボックスは全部で三箱置いてあった。
「中を確認してもいいですよ」
対面の椅子に佐藤が座っている。当然武装しているが、銃器はまだ手に入れていない。サバイバルナイフや包丁、飛び道具として投げる用のナイフが十本、体中にくくりつけてあるホルダーに収まっている。
ここは湾岸にある使われていない倉庫で、ヴィラン間の取引でよく使用される場所の一つだ。当然のごとく、そこの取引場所を仕切っているヴィランのチームが見張りと警護を担当し、取引が警察やヒーローにバレた場合に備えての逃亡手段用のボートと車も用意されている。
だが、自分の身を自分で守るために自前の護衛を取引場所に連れて来ることが普通で、佐藤は三人護衛を連れてきている。
一人目は個性『伸縮爪』の二十前半の女、鎌井沙紀。沙紀は派手な赤色のショートヘアに白のメッシュが入っていて、服装は露出度の高いクロップド丈のコンパクトな黒のカーディガンにハイウエストの青色デニムショーツ。両耳とヘソにピアスを付けている。
二人目は個性『硬毛』の三十後半の男、針間剛。短髪黒髪の強面の男で、黒のタンクトップに半ズボン。個性を活かすため、生まれてから一度も体毛を剃っておらず、腕と足と胸は毛に覆われている。
三人目は個性『雷刃』の十代後半の男、稲穂怜。肩でザンバラに切られた金髪に整った顔立ちだが、その目はどこまでも冷めきっている。服装は黒のジーパンに白Tシャツ。
対して、相手の黒服の護衛は十人。それもそれぞれヒーローが使うようなスーツやアイテムを身に付けているため、個性持ちであることは確実。
黒服の男は手に持つリストを横にいる護衛に預け、目の前のアイスボックスの内の一つを開ける。その中には保存液に浸された心臓や肝臓、肺といった臓器の数々がびっしりと入っていた。
「うわッ……」
黒服の男の横でその光景を見た護衛が声をあげ、吐き気を堪える。黒服の男も顔をしかめつつ、顔をアイスボックスに近付け、上下左右に動かして本物であることを確かめる。そして、アイスボックスを閉じた。
「なるほど、確かに揃っているようですな」
「騙すような愚かなマネはしませんよ。で、そちらの品は?」
黒服の男が後ろの護衛に指示を出し、アタッシュケースと大きなバッグを二つずつ持ってこさせた。
佐藤はまずアタッシュケースを開ける。そこには札束が所狭しと入っていた。ダミーが入っていないか札束の中を確認し、もう一方のアタッシュケースも同様に札束のダミーが入ってないか確認する。
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