細マ×ゴリマ×彫刻×事なかれ主義=誤算
空条は呆れたように呟いている。
変な対抗心燃やされて絡まれるって大変だよな。やっぱり無駄に目立ちたくないものだな。……目立てないけど。
「逃げんのか⁉︎あ⁉︎」
黙っている空条に痺れを切らした須藤がさらに吠える。
「二言はねえな?」
「たりめーだ。ぶっ潰してやる」
おそらくトップ争いはこの2人になるとして……オレのライバルは平田と言ったところか。
ビッという電子音とともにオレたちはスタート台から飛び出した。
飛び込みの勢いを利用して水をかき分け、一度目の息継ぎのため顔を上げると既に空条は身体1個分くらいの差をつけて泳いでいた。
平田は同じぐらいの位置にいる。よし、このまま頑張ろう。
俺が頑張って泳いでいると誰かがゴールしたらしくプールサイドから驚嘆の声が上がっている。
「ふぅ……なんとか3位になれたか?」
顔を上げるとクソッ! と膝を叩く須藤と、いつも通りの顔でプールサイドに向かう空条がいた。
どうやら、空条に軍配があがったらしい。
そしてオレも僅差で3位を獲得し、タイムを聞いてプールサイドに向かうと堀北が声をかけてきた。
「驚いたわ、あなた本当に運動はしていなかったの? かなり速かったと思うのだけれど」
「……そうなのか?」
「参考までにタイムを聞かせてくれるかしら」
「26秒だった」
「今やっている、第二レース。先頭でも30秒前後なんじゃ無いかしら?」
「……みたいだな。空条たちにつられていつも以上のペースで泳げたみたいだな。ところで空条のタイムとかは?」
「23.16秒。先生が興奮して叫んでいたのよ」
「凄いな。空条が水泳部……とは考えにくいか」
「えぇ、水泳に向いている身体つきとも言い難いわね」
確かに水泳に必要な筋肉以外もかなりついているから重りになっているんだろうが、それでも23秒台とは末恐ろしい。
その後、第三レースの高円寺も23秒台をマークし、全員のタイムを取り終え決勝戦に駒を進める5人が発表される。
「とてもレベルの高い泳ぎがみれて先生は嬉しいぞ。では、決勝戦を行うメンバーを発表する空条、高円寺、須藤、綾小路、平田だ。よし、準備しろ」
「せいぜい善戦するのね」
「……いや、無理なペースで泳いだからもう筋肉が悲鳴を上げていてそれどころじゃ無い」
「まぁ、誰もあなたを見てはいないのだから気楽に泳ぐといいわ」
「お前はオレを応援してくれているのか精神攻撃を仕掛けているのかどっちなんだ……」
オレが肩を落としながら軽くストレッチし、準備に取り掛かると高円寺の声が聞こえてきた。
「思えば承太郎、君と肩を並べて競うのは初めてのことだねぇ」
「さっきみてえな、派手な泳ぎで負け惜しむんじゃあないぜ」
高円寺は先程強烈に波を立てて泳いでいた。その事だろう。
このふたり、そういえば時々話しているな。元々知り合いらしいが、仲もいいのか?
高円寺は高笑いをし、空条はいつも通りだが、静かな闘志がバチバチと火花を散らしている。
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