ハーメルン
転生したけど、転生特典は一部遅れて与えられるらしい
<スタンピード>にはまだ続きがあります



「これで後は待つだけですね」


「え、ええ……?」


 そう、あの球が魔物の大群の中心付近に行き着くまでただひたすらに待つだけだ。


「……あ」


 ピカッ……キュイイイイン!

 圧縮弾は最初に眩い光を出し、魔力のエネルギーを放出し始めた。


「こ、これはどういう魔法なんだい?」


「……えーと。魔力を圧縮した球を今のように、って見えないか……まあ細工した魔力球を破裂させる魔法です。疑似爆裂魔法、とでも言いましょうかね」


「疑似爆裂魔法……凄まじいな」


「僕自身でも驚いてますよ……終わったみたいです」


 魔力の放出が終わった。魔力球の爆心地であろう場所はここから離れているが、くっきりとクレーターが見える。


「……魔力反応が消えました。魔物は全部倒せましたよ」


 俺の眼では爆心地周辺の魔力の反応はなくなった。これは魔物が残っていないことを意味する。


「広範囲の探知スキルかい……?」


「まあ、そんなものですね」


 眼の能力だけど、一応隠しておこう。異端な能力が知られると後に面倒だし。


「多彩だね。もう君1人で……いや、なんでもない」


「?1人で?」


 暗い雰囲気でそう言うから、少し心配だ。


「いや、本当になんでもないから。大丈夫だよ?」


「そ、そうですか」


 そう言われると気になってしまうんだよね。でも聞かなくて良かったような気もする。

 すると、この微妙な雰囲気を察してか後ろにいるフェザー・ホーネットが前に出てきた。


「シィィ……!(ボス、残りの魔物が向かった場所へ案内します)」


「……アークさん。こいつら、残党の向かった場所に案内してくれるそうです」


「それはありがたい。本当に助かるよ」


「それはそうとアークさん、ここから飛び降りることできますか?」


「え……うん。できるよ」


「分かりました」
『じゃあ出発していいよ』


『了解です!行くぞおまえら!』
『オウッ!』
『よっしゃ行くぞ!』


「行きましょう」


 フェザー・ホーネットたちが動き出すのを見て飛び降りる。アークさんも容易く飛び降りてるから、こういうのには慣れているのだろう。


「は、速いね」


「このペースきついですか?」


「いや、大丈夫。こんなスピード出して走るの久しぶりだからさ。ちょっと感動して」


 ほほう、この人は昔は戦闘系の職に就いてたのかな。てか感動って何ですか。まさかこの人、ちょっとおかしい人……?


「そういえば今向かってる方向に人の住んでいる場所ってありませんよね?」


「……辺境伯領にはないよ。でも辺境伯領の先、騎士爵領にはそこそこな規模の村がある」


「なるほど。そこまで魔物が行き着いてないといいですが……」

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