ハーメルン
転生したけど、転生特典は一部遅れて与えられるらしい
さあ、旅の始まりだ





サトイ・フォン・ミナリアス様へ


 15歳の誕生日おめでとうございます。私も会って祝いたかったのですが、会えないのでこうして手紙を送りました。


 さて、突然ですが私はサーレル・フォン・ミナリアスと申します。あなたの父です。言い訳がましくなるのですが、今まであなたに会えなかったのもカーレ村という辺境で暮らしてもらっているのにも理由があります。それも含めて会って話せたらと思います。


 本題に入りますが、あなたがしたいことがあれば、何も気にせずしてください。あなたの世話係を任せているユナさんにですが、一生働かずに暮らせるほどの資金と家を用意しております。お迎えも送りました。手紙が着いた日の夜には着くので伝言よろしくお願い致します。


 最後に、あなたの16歳の誕生日までに帝都『ミヤコ』のミナリアス公爵家屋敷にお越しください。あなたに会える時を楽しみにしております。


サーレル・フォン・ミナリアスより





「……ユナ。これ見てみて」


「はい。えーと……なるほど」


「あれ、驚かないの?」


 手紙の一部を指さす。


「サトイ様の世話係に任命された時にこの条件は言われてましたから」


「ふーん。なら驚かないのも無理はないね」


「ところで、サトイ様は何かしたいことはございますか?」


「うーん、やっぱり旅したいかな?」


 異世界と言ったら旅だよなぁ。せっかくの異世界だし定住するよりも旅をした方が楽しい気がする。


「いつからされるかのご予定は……?」


「ないけどできるだけ早くやりたいとは思ってる」


「では明日から行かれてはどうですか?」


「へ、明日?どうして」


「サトイ様の願望ができるだけ早く叶ってほしいからですよ。あ、今日はサトイ様の誕生日ですからここにいてくださいね」


 旅の準備は服を《亜空間物質収納術(アイテムボックス)》に詰めるだけだし、出ようと思ったらすぐに出られるな。


「……ん?」



 外がなにかの鳴き声やら人の声やらで騒がしい。


 コンコンコン。


「ちょっと行ってくるよ」


 玄関の戸を開ける。するとサラ、後ろに馬と護衛の兵士がいた。


「サトイ君!誕生日おめでとうございます!」


「ああうん、ありがと。さ、上がって」


「お世話になります!」



「なるほど……サトイ君は旅がしたいのね」


「ついてくる?」


「え、いいの?」


「俺はいいよ。ちゃんとルベルトさんが許可してくれたらな」


「分かった。お父様になんとかして許可をとってきます!」


「ユナは……ミヤコに戻らないといけないんでしょ?」

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