ハーメルン
PSYCHO-PASS -confrontation of orphen-
闇夜に溶ける猟犬達
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2118年 8月 東京 新宿区歌舞伎町 廃棄区画
不運にも、現場に到着する頃には、更に雨は激しさを増す。
深夜だというのに、この区画には怪しげな人間達で溢れていた。
廃棄区画独特の臭い、整備されていない地面、不気味なネオンを放つ看板の光。正に"無法地帯"
荒れたビル群が立ち並ぶその場所に、猟犬たちが降り立つ。
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護送車から降り立つ猟犬。
その首輪を握る、2人の監視官の姿が現れると、
早速、情報が開示されていく。
「対象は、深山 隼人。
1週間前に、勤務先付近の該当スキャナーで色相チェックに引っ掛かり、セキュリティドローンがセラピーを要求。拒絶して逃亡。」
全員のデバイスに浮かぶ、ある男のID。
爽やかな男性の顔からは想像のつかない、サイコパス情報が浮かび上がる。
それを、その場にいる全員に口頭で伝えているのは、
公安局 刑事課一係監視官、霜月美佳。
勤務を終え、退勤しようとした瞬間に通報が入り、少し機嫌が悪そうだった。
「記録したサイコパスは、エバーグリーン。
高い攻撃性と侵入思考が予想されるわ。
…あと、相手はボクシングと格闘技のトレーナー。相手にする時は十分気をつけて。」
そうつけ加え、ため息を吐く。
そしてもう1人のID情報も映し出される。
「そして通報者の女性、水瀬 香澄。
同じ会社のヨガインストラクター。
数時間前に深山の自宅を訪れ、犯罪係数、色相共に悪化。」
かなり若く見える女性の姿。
ヨガインストラクターらしい風貌、そして綺麗な顔立ち。
「何があったのか不明だけど、通報時、かなり男が暴れている様子の音声が交ざってた。職場付近の防犯カメラを見る限り、二人の関係は恐らく恋人同士。そして水瀬は今現在、この廃棄区画内で、深山によって身体的外傷を受け、人質になってるわ。」
彼女の直近のサイコパスはクリムソン、鮮やかな赤紫色が表示されていた。
その色相を目にしたもう1人の監視官。
その人物は、違う省庁のマークが刻まれたジャケットを纏っていた。
「今日の昼頃のスキャナー結果だと、ネールピンク。
たった数時間でここまで濁るなんて…」
おそらく、犯罪係数も同じく急上昇しているに違いない。
色相からして150はゆうに超えているだろうと予想する。
「そもそも、深山がセラピー拒否をしたのも不思議。過去の経歴を見る限り、暗い部分は見当たらないし。」
霜月は不思議そうに眉を顰める。
その発言に1人の執行官が口を開いた。
「何か、バレたくない事でもあったんだろう?
大体は薬物、会社にバレると厄介なことがな。」
宜野座伸元は男の経歴を見ると、何かピンとくるものがあったようだった。
ボクサー選手としても活躍している深山。
会社のスポンサー選手、ドーピングでもしているのだろうと踏んでいた。
「…防犯カメラ見る限り、興奮剤…投与してそう…」
隣の雛河も、男の様子の動画を目にして、何かを察知していた。
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