16話 お礼
いつもながらまたしても炎上したのだが、今回は本当に何故燃えたのかもわからず、調べても身に覚えのない事がつらつらと書き並べられており、それもはっきりとしたことからフワッとしたことまである為、本当にどうして今回俺が燃えたのかが全くもって分からなかった。
そしてそんなよく分からないものにいちいち構ってるほど俺は暇でも無いので、今回の炎上もいつもの様に放っておけばいつの間にか鎮火していると思い、特に反応する事もなくそのままスマホの画面を閉じた。
そして俺は今日が土曜日という事で9時になっても起きて来ない、真冬を起こしに真冬の部屋へと向かった。
本来なら特に俺も流石に12時を回らない限り、学校が休みの日は真冬を寝かせてあげるのだが、今日は昼間に昼食に誘われているので、待ち合わせ場所が少し遠い為、そろそろ準備しなければ遅れてしまうかもしれないので、俺は何度もノックしても起きてこなかった為、真冬の女の子らしい部屋に入り、くぅくぅと可愛らしい寝息を立てながら幸せそうに寝ている真冬を起こさなければならなくなり、こんなにも幸せそうな顔で寝ている妹を起こしたく無いという気持ちと、真冬が一緒に行きたいと言ったので、相手に無理を言って妹を連れて行ってもいいかと聞き、許可をもらっている手前これ以上迷惑をかけられないという気持ちに苛まれながらも、5分ほど悩んだ末に俺は真冬を起こす事にした。
それから各々で着替えや他の準備などをして、またしても父さんの車を借りて、俺は真冬を助手席に乗せて待ち合わせ場所でもある、ユメノミライの事務所の近くにあるちょっとした公園へと向かった。
その最中いつもなら車内で俺と真冬2人でのちょっとしたカラオケ大会の様に、歌を歌いながら車を走らせるのだが、今日は一応曲はかけていたが真冬は歌わずに、その代わりに学校であった事を少し愚痴っていた。
「聞いてよ夏兄!」
「はいはいどうしたの?」
「この前夏兄が結ってくれた髪型あるじゃん!」
「あーアレね、それがどうしたの?もしかしてまたやって欲しいの?」
「それは別にいい」
「あ、そっか」
結構動画とか調べて頑張ったんだけど、もしかしてそんなに嬉しくなかったのかな?
と少しショックを受けながらも、俺は話を本題へと戻した。
「それでその髪型がどうかしたの?もしかしてクラスの人に馬鹿にされた?」
「そう!そうなの、せっかく夏兄が結ってくれたのに、クラスの男子達がお前には似合わないって……」
「そっか、そんな事があったんだね」
きっとその男子達は真冬の事が好きで、俗に言う好きな子には意地悪をしちゃうって奴だと思うんだが、中学生になってもそれをやっている子が居るんだなと、変な事を考えながらも一応その子達のフォローもしておくことにした。
「多分俺が結った髪型が、真冬の魅力を損なわせる程出来が悪かったんだと思うから、もしまた今度髪を結うときがあったら、今度はその男子達にも似合ってるね、って言われるぐらいかわいいのができる様に練習しておくね」
「……夏兄は悪くないもん」
コレで大丈夫だろうと思いチラリと真冬の方を見ると、何かが不満だった様で頬をハリセンボンの様にぷくりと膨らましながら、何か俺にはギリギリ聞こえない声量でぶつぶつと呟いていた。
それを見て俺は思春期って難しいな、と配信者としてどうかと思うほど平凡な感想を1人抱いていた。
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