ハーメルン
その首置いてけザフト共
アルテミス攻防戦 1



 連合・プラント間の戦争において、地球の国家の1つでありながら地球連合に加盟せず中立を表明しているオーブ連合首長国。
 そのオーブが所有する資源コロニーであるヘリオポリス。
 中立国が保有するこのスペースコロニーの近郊にて、宇宙港に入る()西()()()()()()()艦艇の姿を密かに監視する、ザフト所属の軍艦であるナスカ級高速戦闘艦“ヴェサリウス”の姿があった。

 ザフトと連合において世界樹の攻防をめぐり起きた戦いにて連合のメビウス37機と戦艦6隻を落とすという類い稀なる活躍を見せネビュラ勲章を受領したザフトの英雄の1人、ラウ・ル・クルーゼの率いる部隊である。

 この人種間の絶滅戦争に様相を変えつつある戦争からの避難民を受け入れている中立国のオーブ。
 しかし中立宣言をしてもこの大規模となった戦争から無縁ではいられなくなり、両陣営に裏で様々な取引などを行い表向きの中立維持を行ってきた。

 だが、避難民に紛れてオーブに滑り込ませたスパイからの提供により、ザフトはこのオーブにて連合がナチュラル用の新型MS開発を極秘裏に行っているという情報を入手。
 その真偽を確かめるべく、件のスペースコロニーであるヘリオポリスにクルーゼ隊が向かい、そして今まさに彼らは中立国に入港する連合の艦艇を確認したのである。

 外面は偽装しているものの、中立国のコロニーにはザフトも手が出せないと思っているのかクルーは明確に大西洋連邦の軍属がおり、複数機のメビウスも搭載しているなど、油断からかその偽装は不十分なもの。
 スパイからの情報ではMSこそ確認されていないものの、明らかに特務に従事する大西洋連邦の部隊であることが確認された。

「まったく、中立国が聞いて呆れる……諸君、作戦準備にとりかかれ」

 仮面をかぶった白服に身を包むザフト──ラウ・ル・クルーゼは、中立国の実態に言葉の上では非難めいた台詞を呟きながらも、どこか楽しげに口元を小さく歪ませながら、作戦開始の合図を出した。

 クルーゼが立てたのは、選りすぐりの赤服兵士をヘリオポリスに潜入させ、その新型MSを奪取するというもの。
 今回宇宙港に入ったマルセイユ三世級には内通者より新型MSのパイロット候補が搭乗していたという事から、すでに機体は完成し運用試験の段階に入ったとクルーゼは見ていた。

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